高峯は相変わらずお金に目がない。金銭への欲望が他の商人たちよりも遥かに強いようだ。成之は懐から小さな冊子を取り出し、それをテーブルの上に置いた。「何だ、これは?」高峯が眉をひそめる。「計画書だよ。この中には、妹とお前が夫婦関係を修復するのに最適な場所が載っている」成之は表紙を指差しながら続ける。「とある隠れ家だ。そこに行けば、外の世界とは一切の連絡が取れなくなる。そこで半月一緒に過ごすんだ」高峯は鼻で笑った。「馬鹿げている。そんな場所に彼女と閉じ込められたら、1日もしないうちに喧嘩だろうな」「中をよく見てみろ、かなりいい場所なんだ。行った夫婦たちはみんな、帰ってくる頃には関係が良くなっている」成之の言葉に半信半疑ながらも、形だけでも目を通すため、高峯は冊子を手に取った。その場所は確かに特別だった。電気もネットもなく、通信手段もゼロ。ただし、景色は絶品だ。そこに足を踏み入れれば、世界は二人だけになる。互いに協力し合わなければ、生き延びることは難しい。高峯は冊子を見ながら、小さくため息をついた。「どうせ若者向けの体験型アトラクションだろうよ」成之は穏やかな口調で言った。「予約が殺到していて、今や2年先まで埋まってるんだ。それでも関係を使って、お前たちのために特別に枠を取った。今日、紀子が帰ってくる。だからこの数日で出発しろ」「そんなところに行くのはいいが、紀子本人の意思はどうなんだ?」高峯は腕を組み、少し皮肉っぽく言った。「彼女は箱入り娘で、これまでずっと贅沢な生活を送ってきたんだ。こんな苦労は耐えられないだろう」「心配するな。彼女にはすでに聞いている」成之の声は冷静だ。「彼女はこう言ったよ。『15日間で成功すれば、その後の人生が少しでも楽になる。それがダメなら、15日後に離婚するだけだ』とね」「......離婚?」高峯の眉間に深い皺が寄った。「あいつがそんなことを言ったのか?」「結果はお前たち次第だ。関係を修復するか、離婚するか、それはお前たちが決めろ。俺はただ、この機会を提供するだけだ。これ以上、妹が家に帰りたがらず、塞ぎ込んでいるのを見るのは耐えられない」成之はそう言うと、椅子を引き、立ち上がった。部屋を出る直前、振り返りながら一言付け加える。「15日後、どんな結果になろうと、お前が欲しがっていたリソ
最終更新日 : 2024-12-10 続きを読む