教会の扉は閉じられていた。松山昌平は押し開けようとしたが、面子が立たないと考えたので、外に立ち尽くし、咳払いをして冷たく言った。「自分で出てこい」「......」中は静まり返っていた。不快感を抑えつつ、彼は冷淡な態度を崩さずに続けた。「駆け引きもほどほどにしろ。俺の忍耐には限界がある。俺が中に入ったら、ただじゃ済まないぞ!」ふん、彼は飛行機やスピードボートを乗り継ぎ、「ガンガンガン」と何時間もかけて必死に山を登ってきた。九十九歩まで進んだのに、最後の一歩だけはどうしても相手に踏み出させたいようだ!それでも、沈黙だった。松山昌平は怒りを抑えきれず、振り返ると扉を勢いよく押し開けた。「篠田初、いい加減に......」「サプラーイズ!松山昌平、おめでとう!騙されたね!」見渡せば、この教会に篠田初などどこにもない。空っぽの部屋の中央には、ただ一つのテディベアが置かれているだけだった。そのテディベアには通信装置が仕込まれており、まるで意思を持っているかのように、「ハハハハハ」と松山昌平を嘲笑っていた。「ははは!松山社長、まさか本当にここまで来るとは!本当に馬鹿だね!」「無駄なことはやめなよ。私があんたに見つけられたくない限り、絶対に見つけられない」「いずれ会うべき時が来たら、ちゃんと迎えに来なさいね!」テディベアは高慢な態度で篠田初の声を発し、嘲笑を含んだ調子で一言一言が響き渡った。「篠田初!!!」自分が他人を手玉に取ってきた賢い男だと思っていた松山昌平は、今日は一人の女性に完全に翻弄されていることに、まるで予期していなかった。彼の完璧な顔立ちは怒りに歪み、テディベアを掴むと、今にも引き裂かんばかりの勢いだった。すると、テディベアがまた喋り出した。「壊そうなんて思わないでね。さもないと、この島から出られなくなるよ。信じられないなら、財布を確認してごらん?」彼がポケットに手を入れると、財布が消えていた。彼はすぐに察した。あの少女にすられたに違いない。だが、今から追ったところで、どうにもならない。「くそっ!何が目的だ?」松山昌平はもう狂いそうだった。テディベアは冷静に言った。「ははは、やっと気づいた?人は見かけによらないものよ。目に見えるものだけが真実とは限らないの」松山昌平は怒り
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