湖城。 雲湖大学の女子寮。 「うわー…美咲、この人、誰?すごいお金持ちじゃん!」 「また、美咲に片思いしてる先輩じゃないの?」 「そうよ、そうよ。周藤先輩よりずっと太っ腹だわ。あの周藤先輩、美咲のこと好きだって言ってたのに、美咲のライブ配信ルームID教えたのに、20万円ちょっとしか貢いでくれなかった。さっきも、10個ちょっとスーパードリームロケットを贈っただけで、もう諦めちゃったし。この小さなマッチ棒って先輩、すごい気前がいいわね!」 山下美咲は、訳が分からなかった。小さなマッチ棒という人物は全く知らないのに、いきなり200万円以上もギフトを贈ってくれたのだ。 彼女がライブ配信を始めたのは、まだそれほど前のことではない。視聴者のほとんどは学校の友人たちで、その多くはクラスメイトだった。周藤東は、美咲の1つ上の先輩で、彼女のライブ配信ルームのランキング1位になっており、彼女にアプローチしていた。 「ねえ、みんな、この人、友達に追加した方がいいかな?」美咲は尋ねた。 配信者は、お金持ちの視聴者を繋ぎとめるため、彼らを友達に追加することが多かった。そして、そのお金持ちから、次々にギフトを贈ってもらったのだ。 中には、お金持ちを繋ぎ止めるために、自ら会って、体を許してしまう配信者もいたという噂もあった。 「美咲、まだ放っておきなさい。たった200万円ちょっとよ。美咲はそんな安っぽい女じゃないわ。もし、美咲に気があるなら、きっと学校で声をかけてくるわよ」 森岡翔は、200万円以上貢いだところで手を止めた。お金を惜しんだわけではなく、この従妹に数百億、数千億貢いだとしても、彼は痛くも痒くもなかった。しかし、あまりにも多く貢ぎすぎると、美咲を怖がらせてしまうかもしれないと思ったのだ。 ゴールデンウィークに湖城に行ってから考えよう。 森岡翔はギフトを贈ると、自分の正体を明かさずにライブ配信ルームから退出した。そして、クジラライブを適当に見て回り、好みのタイプの配信者を見つけると、そのルームに入り、スーパードリームロケットを66個プレゼントした。 1時間も見て回ると、すでに10回以上もギフトを贈り、2000万円以上使ってしまった。ニュースにも何度も取り上げられ、小さなマッチ棒という森岡翔のIDは、クジラライブでちょっとした話題に
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