金碧輝煌カラオケ。 地下1階の個室。 山下美咲はトイレに閉じこもり、森岡翔に電話をかけていた。 今日は、友達とカラオケに来て、ストレス発散するつもりだった。ところが、たまたま同じ大学の先輩たちと鉢合わせしてしまい、一緒にカラオケをすることになったのだ。 すると、途中から、いかにも怪しげな男たちが数人、部屋に入ってきた。先輩たちとは顔見知りのようだった。 こうして、当初は数人だったはずのメンバーが、いつの間にか10人を超える大人数になってしまった。しかも、美咲は、そのほとんどの人間と面識がなかった。 美咲たちは、友達と相談して、この場から立ち去ろうとした。しかし、何度か試みたものの、男たちに阻まれてしまった。所詮、彼女たちはか弱い女の子であり、相手は7、8人の屈強な男たちだった。 男たちが帰らせてくれない以上、彼女たちは、ここから逃れる術がなかった。仕方なく、美咲たちは男たちに頭を下げ、ようやく解放してもらえることになった。 ただし、男たちは、美咲たちに酒を一杯ずつ飲ませることを要求してきた。美咲たちは、これ以上逆らうことができず、酒を飲んで、一刻も早くこの場を立ち去りたいと考えた。 ところが、美咲は酒を飲んだ後、急にめまいがして、体がだるくなってきた。彼女はすぐに、薬を盛られたことに気づき、トイレに駆け込んだのだ。 誰に助けを求めればいいのか…考えた末、美咲は森岡翔に電話をかけることにした。森岡は、今日、湖城に来る予定だと話していたのだ。 美咲は、森岡が早く来てくれることを祈りながら、スマホを握りしめていた。もし彼が来てくれなければ、彼女は、その先のことなど、想像したくもなかった。 森岡は、金碧輝煌カラオケへ向かって車を走らせていた。しかし、街中のため、スピードを出すことはできなかった。 地図アプリで距離を確認すると、このままのペースでは、到着まで20分はかかってしまう。美咲が、それまで持ちこたえられるかどうか、彼は不安だった。 そこで、彼は田中に電話をかけた。 「もしもし、森岡くんか?どうしたんだ?」田中の声が、電話越しに聞こえてきた。 「田中さん、金碧輝煌のオーナーを知っていますか?連絡を取れませんか?」森岡は焦燥した様子で言った。 「金碧輝煌?ああ、知ってるぞ。近藤の店だ。お前、近藤を探して…
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