Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 461 - Bab 470

548 Bab

第461話

佐々木父が陽のほうを味方したということを唯花たちは知らなかった。陽の顔は氷を当てて暫く冷やしていたので、少し腫れがおさまっていた。しかし、陽は家に帰りたいとずっと泣きわめいていた。それで唯花は家に帰っていいかどうか医者に聞きに行った。医者は退院してもいいが、子供は大きなショックを受けているので、もしかすると熱が出るかもしれないから注意するように伝えた。夕方、みんなは唯月親子を家に送った。唯花は陽のことが心配で、理仁を引っ張ってベランダへと出て行き、彼に向って言った。「今日はお姉ちゃんの家に泊まって、陽ちゃんの傍にいてもいい?」理仁は心の内では彼女と離れたくないと思った。彼は今唯花に対して感情が高まっている時で、一日二十四時間、ずっと彼女の傍にいたかった。しかし、陽のあの様子と、叔母である彼女のことを考えると、陽に付き添いたいという気持ちは十分に理解できた。「結城さん?」唯花は彼がじいっと自分を見つめる瞳と、唇をきつく結び何も言わないのを見て、恐る恐る尋ねた。「だめ?お医者さんが陽ちゃんは熱を出す可能性があるって言ってた。お姉ちゃん一人でお世話をするのは、ちょっと心配で」すると大きな手が自分のほうに伸びてきて、彼女の顔に触れた。理仁のその手はとても温かく、彼女の顔に軽く触れていた。その温かさはまるで春風が顔を優しく撫でているかのようで、唯花は目を閉じていつもの彼からはあまり感じることのできないその心地よさをゆっくりと味わっていたかった。「陽君のお世話もいいけど、自分のことも大事にしてくれよ」彼はそう言葉を残した。声は相変わらず低かったが、いつものあの冷たさはなく、温かさを感じられた。「わかったわ」「何かあったら、すぐに俺に連絡して。また他人みたいに遠慮なんかしないでね」理仁は彼女が以前、内海陸たち不良どもと喧嘩する時に、とても勇ましく全部自分一人で奴らを片付けてしまい、彼に女性の窮地を助けるヒーローにさせてくれなかったことをずっと根に持っているのだった。唯花は微笑んで、ササっとリビングのほうを確認し、義弟たちがこちらを見ていないのがわかると、手を伸ばし理仁のがっちりとした腰に手を回して抱きしめた。そして顔を彼の胸元にぴたりとくっつけた。妻のほうから抱きしめられに来たのをいいことに、理仁は遠慮な
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第462話

理仁は彼女の体を少し離し、下を向いて彼女と目を合わせた。唯花はゴクリと唾を飲み込んだ。毎度彼と目を合わせると、彼のルックスの良さに引き込まれてしまう。いつも……からかいたくなる。もしも、彼がずっとこのように優しかったら、一週間もかからず、彼を襲って食べちゃってもいい。もっと自分の肝っ玉を鍛えれば、毎日違う調理法で美味しくいただけるだろう。唯花の頭の中でそのいろいろな調理法とやらの妄想が繰り広げられている中、耳元で理仁の低い声が聞こえてきた。「俺たち、いつそんな契約なんて結んだ?」内海唯花「……」彼女は意外そうな顔になった。理仁がまさかこんな言葉を口にするなんて信じられないという様子だ。「結婚してすぐ、あなたが書いた契約書のことよ。結婚は半年の契約で、私にサインまでさせたでしょ」理仁は全く驚かず落ち着いた様子で淡々と言った。「その契約内容を言って聞かせてくれないか」唯花は口を開けたが、言葉が出てこなかった。あれから結構経っていたから、契約の内容は彼女もそんなに覚えていなかった。ただ結婚期間は半年で、お互いに相手のプライベートには干渉しないという内容だけだ。「内海さん、君はたぶん最近お義姉さんのことで気が回りすぎて、俺たちが契約を結ぶなんていう幻覚でも現れたんじゃないだろうか。実際は、そんなの存在しないよ。もし俺たちが本当に契約を結んでいると思うなら、家に帰ったら俺の部屋に入って好きに探していいよ。君の言うその契約書とやらをね。俺は絶対にそんなのは結んでないと言い切れるけどな」唯花は絶句した。明らかに彼らは契約を結んだのに。これはつまり……言い逃れする気か?理仁は下を向いて彼女の唇をツンツンと突っつき、優しい声で言った。「そんなデタラメなことを考えちゃだめだぞ。俺はあいつらを連れて食事に行ってくるよ。清水さんにはここにいてもらうから、君たちの手伝いをしてもらったらいい」この時の唯花は相当に驚いていた。ずっとプライドが高く冷たい態度を取ってきた、あの結城理仁がなんとまあ言い逃れをするなんて。彼が契約を結んだことを否定したことが唯花をかなり驚かせた。彼の言葉を聞いて、彼女は馬鹿のようにただひたすら頷くしかなかった。彼女が驚愕している様子を見て、理仁は口角を上げてニヤリとした。そして、彼女を抱きし
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第463話

理仁とその兄弟たち八人は、おばあさんを連れて出かけていった。一行はスカイ・ロイヤルホテルに食事に行った。ホテルのロビー責任者は、八人の結城坊ちゃんたちが、老婦人を連れてやって来たのを見たが、ボディーガードは連れていなかったので、一体どのように対応したらいいのかわからなかった。きちんと挨拶したほうがいいのだろうか?しかし辰巳坊ちゃんから、若旦那様がボディーガードを連れていない時には、普通の客と同じように知り合いではない態度を取れと言われている。ロビーの責任者がどうするか悩んでいるうちに、理仁たち一行はすでにホテルに入ってきていた。そして彼の目の前を通り過ぎていった。彼ら八人は、各々が独自のオーラを放っている。ホテルに入って来た瞬間、多くの人の目を引いた。彼らが小声でおばあさんに対して「ばあちゃん」と呼んでいるのを周りの人たちは聞いていた。周りの人たちは、おばあさんのことを羨望の眼差しで見ていた。このおばあさんは超超超幸せ者だろう。こんなに容姿の整ったイケメンな孫たちを引き連れて、どうしろというのだ。羨ましすぎる!羨ましがられても困る。おばあさんは孫が多すぎて、彼らの結婚のことで頭を悩ませているというのに。食事の後、理仁は辰巳に伝えた。「辰巳、お前はばあちゃんを連れて実家のほうに帰ってくれ。俺は九条家に行ってくる」佐々木俊介が財産を移した証拠は九条悟のところにある。九条家の現当主もこの夜は家にいるらしい。理仁は悟に自分が取りに行くと伝えていたのだ。「私はあっちには帰らないよ」おばあさんは拒否した。「内海さんは今日家には帰らないんだ。ばあちゃん、だから何も面白いもんなんか見られないぞ。自宅のほうに帰らないでフラワーガーデンに戻ったってつまらないだろ。明日来たって同じことなんだからさ」おばあさんは目を大きく開いて理仁を睨んだ。「私は別につまらなくたって平気よ。それに別に面白いものを見ようと思ってわざわざ来たわけじゃないんですからね。私は唯花さんのことが好きだから、孫のお嫁さんと一緒に住みたいだけで、あんたと住みたいわけじゃないのよ。だからほっといてちょうだい」理仁は呆れてしまった。「あれは俺の家だぞ」「あんたはあの家で大黒柱やってるわけ?」理仁は言葉に詰まらせた。あの家のことは全て内海唯花に任せ
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第464話

ちょうどこの時、悟は当主の九条弦(くじょう げん)と話しているところだった。二人は世代は少し離れているが、お互いに気を許せる仲でもあった。そこへ黒衣の男が入ってきた。彼は二人の前までやって来ると、礼儀正しく「弦様、悟様、結城家の理仁様がいらっしゃいました」と伝えた。「通してくれ」その黒服の男は恭しくそれに応え、後ろを向き部屋を出て行った。悟はテーブルの上に置かれた黄色いファイルを指さした。「彼はあれを取りに来たんだ」「彼自ら来たということは、俺に用があってのことだね」九条弦は使用人を呼び、お茶を入れフルーツを客に用意するよう指示を出した。彼はよく九条家の力を用い、悟の、いや正確には理仁のために動いていた。理仁はそのことをよくわかっている。彼が自分からここに来たということは、九条弦に礼を言いに来たのだ。「彼は前から弦兄さんに会いに来たいと思ってたんだけど、兄さんが忙しくて家になかなかいないものだから、機会がなかったんだよ」「彼はお前の友達だから、俺の友達同然だよ。友人同士、お互いに助け合うのは当たり前なんだから、そんなに畏まらなくたっていいんだ。お前は結城グループで働いていて、自分の力を証明できただろう。だから俺はすごく嬉しいんだよ」九条弦は悟の肩をポンと叩いた。「しっかりやるんだ。だけど、仕事ばかりやってないで、自分の人生もちゃんと考えるんだよ。お前のお母様もいつもいつもお前ももうこんな年になったのに、彼女の一人もいやしないと文句言ってるよ」「弦兄さん、兄さんこそ俺よりも年上だけど、彼女はいないだろ。俺が焦ってどうするんだよ?」九条弦「……何も聞かなかったことにしてくれ」さっきの黒衣の男が理仁を案内して入ってきた。理仁のボディーガードたちは理仁が用意した贈り物を持って部屋に入って来た後、それを置くと静かに部屋を退室しドアの前で待機していた。「理仁」悟は立ち上がり彼を迎えた。九条弦も立ち上がったが、悟のように彼のほうへ行って迎えることはせず、結城理仁からやって来るのを待って九条悟から紹介されてからお互いに右手を差し出した。「九条さん、お名前はかねがね伺っております」「結城君の噂もよく伺っていますよ。今日のようにやはり実際にお会いしてみないとね」二人は握手を交わし、理仁は弦に促されて椅子
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第465話

「プルプルプル……」九条弦の携帯が鳴った。彼は電話に出た後、申し訳なさそうに言った。「結城さん、すみませんが、急な用で出かけなくてはいけなくなりました。お先に失礼します」理仁は急いで立ち上がった。「悟、俺に代わって結城さんのおもてなしをしてくれよな」弦はそう悟に任せた後、すぐに出かけていった。弦が出かけたので、悟は理仁を連れて自分の家に行った。そして、理仁は一晩中、悟の母親が彼はもういい年した男のくせに、まだ彼女がいないのだという愚痴を聞かされた。やっとのことで九条家から逃げ出した理仁は、悟に言った。「次、お前の母親がいる時は絶対に俺をお前の家に呼ぶなよ」悟はケラケラと笑った。「あんな話、適当に聞き流しときゃいいだろう」「牧野さんとのお見合いはどうだった?家族には話していないのか?」「弦兄さんには話したけど、他には言ってないよ。話して結婚話が加速したら困るだろう。うちの家族はこんな話を聞いたら、牧野さんが一体どんな人なのか気になってすぐにわらわらと集まってきて彼女を驚かせて怖がらせてしまうぞ」理仁は同情して彼の肩を叩いた。「もし彼女のことが気に入ったのなら、頑張って独身を卒業したまえ」「独身卒業したって、今度は子供産めって急かされて、産んだら産んだで今度は二人目、三人目って言われんだろ。上の世代の奴らは止まることを知らないんだからな」悟は自分が独身じゃなくなっても、両親からうるさく言われることは一生続くと思っていた。理仁を見てみろ、結城おばあさんに言われて内海唯花と結婚した後、それだけでは満足せずに子供を産め産めと催促されているではないか。「牧野さんは確かにタイプではあるけど、ちょっと素直すぎるかなぁ。話する時もまったく遠慮せず、ずけずけ言ってくるしさ。たまに俺ですら何も言えなくなって、言い返せなくなるんだよね」そんなことは別に大した問題ではない。彼は明凛のような性格の女の子が好きなのだから。「だったらグイグイ行けよ」悟が明凛を気に入ったことに理仁はとても嬉しそうだった。彼が二人の赤い糸を引いてあげたことは無駄ではなかったのだ。悟は笑うだけで、何も言わなかった。九条悟に見送られて、理仁はボディーガードたちとともに九条家を後にした。翌日、理仁は朝早くに久光崎のマンションのほうへとやって来た
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第466話

彼のこのような心遣いに唯花は嬉しくなった。しかし、彼女は丁寧にお断りした。理仁が焦って何かを言おうとした時、彼女は片手に花束を抱きかかえ、もう片方の手を彼の首に回した。そして、彼の頭を自分のほうへと下げ、近づいて小声で言った。「家の中にあまりたくさんの花を置かないほうがいいわ。そんなことしたら、家主は気が変わりやすくなっちゃうわよ」そういい終わると、次は結城理仁の胸元をポンと叩いた。つまり彼に浮気をするなと言っているのだ。結城理仁「……」そんな迷信聞いたことないぞ?日を改めて悟に尋ねてみることにしよう。唯花は彼の車に乗った。理仁も車に戻った。そしてエンジンをかけながら彼女に尋ねた。「陽君はどんな様子?」「顔はまだ少し腫れてるの。昨日の夜熱を出して一晩中泣いていたのよ。今朝熱が下がったし、泣き疲れたみたいでお姉ちゃんに抱かれて眠っちゃったわ」陽の話になり、唯花の晴れやかだった気分はまた下がってしまった。「理仁さん」唯花は首を傾けて彼を見ながら言った。「もし、もしもよ、もし私たちに今後子供ができたら、どんなことがあっても、私たちの関係が悪くなっても、絶対に子供を傷つけないって約束してくれる?」それを聞いた理仁は急ブレーキをかけた。彼も首を傾けて唯花を見つめた。夫婦二人はお互いに見つめ合い、お互いに相手の瞳から真剣さを感じ取ることができた。彼は彼女に愛を伝える言葉を言ったことはないが、彼の彼女に対する愛情は普段の行動から感じ取ることができる。彼女のほうも同じく彼に愛しているという言葉を言ったことはないが、彼に対してどんどん信頼を寄せるようになっていた。夫婦二人はすでに、お互いの世界に入り込んでしまっているのがわかっていた。理仁は彼女のほうに手を伸ばし、優しく唯花の顔に触れ、体を傾けその端正な顔を彼女のほうへと近づけた。彼女が目を閉じた瞬間、おでこや頬、唇にキスの雨を降らせた。「唯花さん、君が心から俺を慕ってくれるなら、俺も誠心誠意その気持ちに応えるよ。俺は心の狭い男だから、君が俺の心の中に住むっていうなら、君しか受け入れてあげられないな。今後は他の女なんか入る隙なんかないぞ。俺たちの関係は、変わったりしない。もし子供ができたら……その子は俺らの何よりも大切な存在だ。自分自身を傷つけたとしても、
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第467話

理仁は車を止めた後、佐々木俊介が財産を移した証拠のことを思い出し、車から降りようとしている唯花を呼び止めた。「友人に頼んで、佐々木俊介の財産の件を調べてもらった。あいつよくやってくれたよ、証拠は昨夜俺に渡しに来てくれたんだ。そのまま車の後部座席に置いてある。その黄色いファイルに入っているよ」「あなたのお友達って本当にすごいわね。こんなに短時間で証拠を集めてしまうだなんて」唯花は理仁の友人にとても感謝するとともに、興味が湧いてきた。どんな人なのか会ってみたい。彼女はこの証拠が集まるにはかなりの時間を要すると思っていたのだ。佐々木俊介は最近になってから財産を移したわけではないだろう。もっと前から計画的に行っていたはずだ。たった一日で、その友人は証拠をきれいに集めてしまった。「理仁さん、あなたのそのお友達、探偵事務所をやってないだなんて、すごくもったいないわよ、こんなに能力が高いのに」唯花は車を降りると、後部座席のドアを開け、中から黄色いファイルを取り出した。「彼の家族には専門に情報収集をして生業にしている人がいるからね。彼らのその人脈があってこそ、こんなに早く証拠が集められるんだ」九条家の情報網の範囲は非常に広い。星城市はもちろん彼ら九条家の地盤でもあるわけだから、星城内の情報の数といったら桁違いだ。九条家が知りたいことは余すことなくかき集めることができる。しかし、その費用は相当に高い。普通の人には九条家にお願いできるような資格もないのだった。「このような人って、私ずっと小説の中だけにしか出てこないと思っていたわ。まさか現実世界にもこんなすごい一家が存在しているだなんてね」唯花は黄色のファイルを取ると、理仁が彼女に贈ってくれた花束を座席の上へ戻した。理仁は彼女を見つめた。唯花は「お姉ちゃんは今、落ち込んでいるでしょ。私たちのこういうイチャついてるような様子はお姉ちゃんの前で見せないほうがいいわ」と慌てて説明した。彼女は彼に近寄って、顔にキスをして笑って言った。「あなたから花をもらって嬉しい気持ちは変わらないわ」人前でイチャつく機会なら今後いくらでもあるのだ。こんな時にそんなことをする必要などない。理仁は納得した。「君たち姉妹は本当に仲良しだな」「だって十何年もお互いに助け合って生きてきたんだもの。お
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第468話

「清水さん、お姉ちゃんと陽ちゃんはやっと落ち着いて寝ているから、起こさないでおきましょう。お粥を作って、後で起きてきたら食べさせてあげてください」清水は頷き「わかりました」と返事した。三人は一緒に朝食を取った。唯花はインスタントコーヒーを入れて飲んで目を覚まさせた。清水は食事を終えると、食卓から離れて出て行った。彼女がいなくなったのを見て、ここぞとばかりに理仁は唯花の手を握った。「唯花さん」理仁は優しい声で言った。「君はここで休んでいて、俺が行ってくる」唯花は彼の手を握り返し、彼を諭すように言った。「大丈夫、コーヒーで何とかなりそうだから。それに、柏木家に行ったら喧嘩になるかもしれないでしょ。口喧嘩なら私のほうがあなたより強いわ。たぶん辰巳君たちでは英子に口で敵わないわよ」彼らはみんな教養があって品のある人たちだから、喧嘩は専門外だろう。「私は陽ちゃんの叔母だもの。陽ちゃんがあいつらにこんな目に遭わされて黙ってなんかいられない。絶対に仕返ししてやるんだから。昨日陽ちゃんが気を失って、こっちのことで頭がいっぱいだったから、柏木家に怒鳴り込みに行く時間がなかったわ。今日は陽ちゃんの調子もちょっと良くなったし、安心してあいつらを懲らしめに行けるのよ」理仁はじいっと彼女を見つめた。唯花は笑った。「理仁さん、そんな目でいつも私を見つめないで。私のこと誘ってるんじゃないか勘違いしちゃうじゃない。そんな目で見つめられたら、心臓バクバクして変なこと考えちゃうのよ。ああ、さっさとベッドに押し倒してあげたいわ。いいの?」結城理仁「……」「プルプルプル……」この時、理仁の携帯が鳴った。それは結城辰巳からだった。彼がその電話に出ると辰巳が話し始めた。「兄さん、俺たちXXインターの料金所近くの駐車場で待ってるよ」「わかった、今から行く」理仁は電話を切ると、唯花に言った「あいつらが昨日と同じ場所で待ってるって」唯花は飲みかけのコーヒーを二、三口で一気に飲み干した。そして清水に姉たちのことを任せると、夫婦は唯月の家を出て行った。道の途中で、神崎姫華から電話がかかってきた。「唯花、あなたに送った写真はもう見た?なんか親しさみたいなものを感じた?」姫華は唯花が実家の田舎のほうで昔女の子を養子にした人もいると聞いて
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第469話

唯花が不安がっていると、姫華は話し始めた。彼女は異常なまでに落ち着いた声で唯花に尋ねた。「唯花、お母さんは昼に家に戻るの。あなたのところに陽ちゃんを迎えに行ってもいい?」姫華は自分の叔母に対してあまり印象がなかった。写真で見てみても、どうもピンとこない。唯花の話からすると、子供は小さい時はみんな可愛いということだが。陽が彼女の叔母に似ているというのであれば、ただほんの少しだけしか似ていないとしても、それを見過ごすことはできない。陽を連れて母親に会わせてみないことには。姫華はこの時、自分が唯花と初めて出会った時に感じたあの不思議な親近感を思い出していた。陽に初めて会った時も、同じように一目で彼のことを気に入ってしまった。もし陽が彼女の叔母の孫であれば、どうして彼女が一目で陽のことを好きになったのか説明もつくというものだ。彼女も陽と同じくらいの子供と接したことがないわけではない。しかし、陽に関しては他の子供たちと違い、陽を自分の甥っ子にしてしまいたいくらい一目で好きになってしまったのだ。陽におもちゃを買ってあげている時、一切の迷いなく、陽におもちゃ工場でも経営してあげて、彼のためだけにおもちゃの生産をしてあげたくなるくらいだった。それは唯花に対しても同じだった。姫華のこの身分であるから、身の回りにはいつも彼女と関係作りをしようとしてきたり、彼女をおだてて気に入られようとしてきたりする人間は後を絶たなかったが、そのような人たちは自分の視界にも入れなかった。26歳である彼女には本当の友人と呼べる人は指折り程度にしかいなかった。それは彼女の好き嫌いが激しいからだ。しかし唯花とは会った瞬間からまるで昔からの親友だったかのように感じたのだ。彼女に唯花の出身や家庭レベルなど気にもさせないほど、友達になりたいと思った。それは、ただ唯花が彼女に好きな人の落とし方を教えてくれたという理由だけではないのだ。それもあって、彼女は本当に心から唯花を好きになり、友達になりたいと思ったのだった。「姫華、今はちょっと都合が悪いの。陽ちゃん、ちょっとトラブルに巻き込まれちゃって」それを聞いて姫華の心は何かにぎゅっと掴まれたかのように苦しくなり、緊張した面持ちで尋ねた。「陽ちゃんに一体何があったの?」唯花は一瞬ためらったが、やはり本当のことを話
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第470話

「うん、旦那って大家族なのよね。姫華、ありがとうね」姫華は唯花の夫が自分の家族を連れて助太刀に行くと聞き、安心して言った。「唯花、あなたと旦那さんってスピード婚なんでしょ?なんだか二人の関係はイイ感じみたいね。あなた達に何かある時には彼が必ず助けてくれるみたいだし」唯月の夫とはまったく違っている。知り合って十二年という長い時間は一体何の役に立つというのだ?そんなに長い付き合いなのに、唯花がスピード結婚した旦那に遠く及ばないではないか。「わかったわ、今回は私は遠慮しておきましょう。だけどね、次もしも何か困ったことがあったら、絶対に私に言ってよね。そうしてくれないなら、私をもう友達だと思わないでちょうだい。そうだ、お姉さんのお家の住所を教えてくれない?私、唯月さんのお家に陽ちゃんの様子を見に行ってくるわ」唯花は彼女のこのお願いは断らなかった。電話を切った後、唯花は姉の住所を姫華に送った。理仁はずっと耳を澄ませて唯花と姫華の通話を聞いていた。姫華が人を連れてやって来ると聞いた時には、彼は車のハンドルをぎゅっときつく握りしめていた。姫華がもし来たら、彼の正体がばれてしまうことになる。彼はこんな突然に真実を明かしたくなかった。それでは唯花に心の準備ができておらず、本当のことを受け入れられないだろう。それに、夫婦二人はまだ相手に対するお互いの気持ちがまだ定まっていない。だからいきなり正体をばらすのは相応しくないのだ。幸いなことに、唯花が姫華の好意をやんわりと断ってくれた。理仁は姫華に対しては好感を持ってはいなかったが、姫華の唯花に対する優しさは認めざるを得なかった。姫華のあの荒い気性とその身分が、彼女を何があっても心の赴くままに行動させていた。じっと我慢している必要はないのだった。理仁は何も気にしていないかのようなふりをして尋ねた。「神崎さん?」「うん、姫華がお母様と叔母様の小さい頃の写真を送ってきたの。あの山荘に行っていた日、ちらっと見ただけで何も気づかなかったんだけど、帰ってからよく見てみたらね、突然なんだか彼女の叔母様が陽ちゃんとすごく似てるなって思ったのよ」理仁は彼女のこの言葉に驚き、危うく前を走行している車に追突してしまうところだった。彼は焦って急ブレーキをかけた。唯花の体はその衝撃で前のめり
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