交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています のすべてのチャプター: チャプター 221 - チャプター 226

226 チャプター

第221話

「違うって、社長。君がその目で内海さんと他の男性が食事をしていて、おかずを取り分けてあげているのを見たとしても、その男が一体彼女とどんな関係なのか、はっきりさせないといけないだろう。もし、親戚だったらどうするんだ?」結城理仁の顔は暗くなった。「金城琉生」九条悟は自然の流れで尋ねた。「金城琉生って誰だよ。ああ、わかったぞ、金城グループ社長の息子じゃないか。今金城グループで経験積んでるって話の。彼は……ちょっと待てよ、金城琉生の母親は確か牧野って名前だったよな。君の奥さんの親友の名前も確か牧野だって」結城理仁は直接説明した。「金城琉生は牧野明凛の従弟だ」「そうそうそう、彼らはいとこ関係だな。奥さんと牧野さんは姉妹のように仲が良いだろう。だから、かなり昔から金城琉生と知り合っていたはずだぞ。彼女は金城君より何歳か年上だろ。彼女はただ彼を本当の弟として見ているだけかもしれないぞ」「あいつらは血縁関係なんかないだろ。何が弟だ、本当の弟にでもなれると言うのか!」九条悟は言葉につまった。確かに、口先では弟として見ていると言っても、血縁関係はないのだ。いくら言っても、肉親の弟にはなれっこない。暫く沈黙が続いた後、結城理仁は言った。「金城琉生は内海唯花に片思いをしている」九条悟「なんでそんなこと知ってるんだ?」「俺も男だ。男の直感が金城琉生が内海唯花に思いをよせていると教えてくれたんだ。それも、一日や二日の出来事じゃなく長い間ずっとだ」九条悟は上司の直感を信じていた。「彼女はそのことを知っているのか?」今度は結城理仁が言葉につまる番だった。内海唯花は金城琉生に片思いされていることは知らない。彼女が金城琉生に良くしているのは、ただ純粋に二人が長年の付き合いだからだ。彼女の言葉を借りれば、彼女は彼が小さい頃から大人になるのを見てきた人で、しかも彼は牧野明凛の従弟でもある。このような関係性から、内海唯花は金城琉生に対して、本当に異性として見ていないのかもしれない。彼女は心から彼をまるで自分の弟かのように見ているのだ。「土曜日に君が彼女と金城君が食事をしているのを見た時、彼ら二人っきりだったの?」結城理仁は顔をこわばらせて言った。「牧野明凛もいた」「だったら君が思っているようなことじゃないよ、二人っきりじゃなくて、三人で食事
続きを読む

第222話

まさか、彼は本当に九条悟が言うように、ヤキモチを焼いているのか?そんなバカな。黒の社長椅子に座り、結城理仁はまた携帯を取り出すと、暫くの間考えていた。そして、プライドを捨てて、内海唯花のメッセージに返事をすることにした。LINEを開いた時、彼は内海唯花をLINE友だちから消してしまったことを思い出した。幸いにも、彼は内海唯花の携帯番号を覚えていた。そしてまた暫く悩んでから、結城理仁は勇気を出して内海唯花に電話をかけた。「お客様がおかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません」結城理仁「……」内海唯花は携帯を切っているのか?それとも、彼女は彼をブロックしているのか?結城理仁はすぐにデスクにある固定電話から彼女に電話をかけてみた。その電話はちゃんと繋がり、待たずに内海唯花はその電話に出た。そして彼はそれを切ってしまった。なぜなら、彼は唯花が本当に彼の電話をブロックしていることを確認できたからだ。本来プライドを捨ててまで夫婦の仲を改善したいと思っていた結城理仁は、内海唯花からブロックされているのがわかり、その考えを消し、またふりだしに戻ってしまった。先に彼が彼女のLINEを削除し、続けて彼女が彼の電話をブロックしたのだ。うん、夫婦どちらもどっこいどっこいだろう。もうこのままでいればいい。結城理仁は内海唯花に電話をかけるのはやめて、立ち上がりオフィスを出ていった。ボディーガードたちに囲まれて会社を離れ、スカイロイヤルホテルに食事しに行った。一方、お金を使うことで気晴らしをした人は、宝石店で買いまくって何十万も消費してその怒りをやっと静めたのだった。内海唯花が店に戻ると、佐々木唯月は就職活動から戻ってきていた。彼女の表情を見るからに、今日もやはり何も収穫はなかったようだ。内海唯花が数十万円も使って買った物は車から降ろそうとしなかった。姉に見られたら、必ず何か言われるからだ。牧野明凛はおしゃべりなタイプではない。内海唯花の許可がない限り、この夫婦がちょっとした誤解で冷戦状態に入っているということを佐々木唯月には教えていなかった。「結城さんを迎えに行って、一緒にご飯を食べるのかと思ってたわ」佐々木唯月は妹が息子を抱きかかえて車から降り、義弟の姿が見えなかったので、何げ
続きを読む

第223話

運転手はそれを聞いて後ろを向き後部座席に座っている結城理仁を見た。理仁の冷え切った表情を見て、彼はすぐに前へと向き直し、車を運転することに集中した。車のスピードをうまくコントロールし、女主人の車から遠くもなく近づきすぎもしない距離を保っていた。七瀬はある重要なことを思い出し、後ろを振り向いて結城理仁に尋ねた。「若旦那様、今夜はどちらに戻られますか?」主人は昨日、屋見沢にある高級住宅地のほうへ帰っていた。今女主人の車の後についているから、トキワ・フラワーガーデンのほうに帰るのではないだろうか。結城理仁は黙っていた。暫くして、彼はようやく口を開いた。「屋見沢のほうに、だが……」彼は前方にいるあの見慣れた車を見つめていた。その続きを言わなくてもどうするのかは明らかだった。彼らは静かに内海唯花の車がトキワ・フラワーガーデンに到着するのを見届けて、彼は自分の別の家へと帰るのだ。七瀬は頭の回転が速い人物で、すぐに主人の意図を理解し、運転手に詳しく告げた。内海唯花は後ろから一台の車が続いて来ているのはわかっていた。ここ星城の大都市は夜中でも交通量が多い。しかし、彼女は後ろに結城理仁が乗っている車が続いているとは気づいていなかった。彼女があの数台の高級車を見たとしても、それが理仁のだとは知りもしないのだ。もうすぐ交差点に差しかかるという時、道端に立っていた七、八人の少年たちが突然どっと車道に出て来た。そして、内海唯花はすぐに急ブレーキを踏んだ。あと少しで彼らにぶつかってしまうところで、車はなんとか止まった。内海唯花は驚き全身に汗をかいていた。暫くしてからようやく我に返った。「ドンドン」その中の一人の少年が彼女の車の窓を叩いた。内海唯花は誰かにぶつかってしまったのだと勘違いし、急いで窓を開けた。しかし、そこにいたのは彼女の親戚の一番下の従弟だった。「あなただったの?」内海唯花は眉間にしわを寄せた。「死にたいの?さっきみたいにいきなり飛び出て来て、私がもしすぐに急ブレーキをかけてなきゃあんた死んでたわよ?死にたいなら、私の近くで死なないでよね。私の車を汚す気?」彼女のその一番下の従弟である内海陸はまだ十何歳かで、まさに反抗期だ。なにも怖くない年齢だ。以前、彼女のいとこ達が彼女の店に押し寄せて、和解しようとした時、内
続きを読む

第224話

そして、深夜になり車や人通りが少なくなってから、内海唯花がやって来るのを待ってその車を無理やり止めるような行動に出たのだ。「おばあさんがいくらお金を使ったかなんて、私には関係ないね。彼らがお金で祖父母と孫の関係を断ち切った時、私たちに老後の世話も墓のこともする必要はないと言っていたんだから。当時あんたはまだ物心ついていなかったから、何があったのか知らないでしょう。私が書いたツイートを読み直すか、あんたの両親にでも聞いてみればわかるわ。だけど、あんたの両親は恐らく認めないでしょうね。あんた達が私の両親が命と引き換えにした賠償金を使っていなければ、今のような優雅な生活が送れていたかしらね?」内海唯花はとても冷ややかな顔つきで内海陸に反論した。「んなことどうだっていいんだよ。さっさと車から降りてこい。三つ数える、それでも降りてこないってんなら、てめえの車を壊すぞ」内海陸は仲間が多いので、かなりのさばっていた。彼が連れて来たその仲間たちは、すでに内海唯花の車の周りを囲っていた。その頃、後ろからも車がゆっくりと近づいてきていた。内海陸たちは若く血気盛んで、このような不良たちに普通の人はなるべく関わりたくないと思っているから、後ろからゆっくり来ている車なども彼らは全く気にしていなかった。内海唯花の車が内海陸に遮られていた頃、運転手はすぐに車のスピードを下げた。彼と七瀬は後ろを振り返り、結城理仁を何度も見た。結城理仁は顔をこわばらせていて、何も言わなかった。それで運転手はさらに車を減速させるしかなかった。主人は、奥様が危険な目に遭いそうな瞬間に助けに行くつもりなのだろうか?内海唯花は従弟が連れて来た仲間たちの中に、鉄の棒を持っている人がいるのを見て、彼らは本当に彼女の車を壊す気なのだと悟った。彼女は車の中をあさり、傘を見つけ出すと、それを強く握りしめ車のドアを開けて降りて行った。彼女が車を降りる瞬間、内海陸は仲間の一人からその鉄の棒を奪い取り、内海唯花に向かって振り下ろした。内海唯花は覚悟を決めていて、まずは傘でその棒を遮ると、動きを止めずに足ですぐに内海陸の腹を蹴り飛ばした。内海陸はその衝撃で後ろに数歩後退し、最後には地面に倒れてしまった。あの鉄の棒も一緒に地面に転がった。内海陸のそばにいた二人の少年がそれ
続きを読む

第225話

失策だ。人を襲う場所を間違えた。ここは信号機のある交差点で、近くには監視カメラが設置されていたのだ。彼らが先に襲ってきたのは明らかで、内海唯花はただ正当防衛したまでだ。内海陸は、自分が七、八人仲間を連れて来たから、内海唯花のような弱い女をやっつけるのは朝飯前だと思っていた。それがまさか、内海唯花が腕の立つ人間だとは思ってもいなかった。家族はどうして唯花が空手ができると教えてくれなかったんだ?「さあ、どうするつもり?」内海陸は引っ張られている耳をどうにかしたいと思ったが、内海唯花はさらに力を入れるので、あまりの痛さにわあわあ叫んだ。口から出るのは罵る言葉だった。「てめえ、その手を放せ、俺の耳を引っこ抜きでもしてみろ、父さんと母さんが許さないからな!」「従姉のお姉さんと呼びなさい」「はっ、ざけんな。何がお姉さんだよ?」「それもそうね。私はあんたの姉じゃないし、私だってあんたみたいな従弟はくれると言われても要らないわよ」内海唯花がさらに力を込めると、内海陸は痛みでさらに大きな叫び声をあげた。彼のあの仲間たちは早々に内海唯花の空手の腕に驚愕し、今は全員彼女の手によって打ち負かされ、内海陸がこのような仕打ちに遭っているのを見て、こっそりと後ろに下がった。「動くんじゃないわよ!」内海唯花の恐ろしい咆哮に、その不良たちはピタリと動きを止めた。みんな怯えた顔をしていた。「内海さん、俺たち人を見る目がなくて、失礼しました。俺らが間違っていました。内海陸の野郎に金つかまされてノコノコついてきちゃったんです。あいつが全部悪いんですよ。姐さん、どうか俺らのことは大目に見て、見逃してくれませんか」不良たちは唯花のことを姐さんと呼び始めた。内海陸「……」気骨のないやつらだ。あいたたた、彼の耳はものすごく痛かった。このクソ女、本気でこのまま耳を引っこ抜いてしまうつもりか?「内海……姉さん。お姉さん、もうちょっと力を、緩めてもらえませんか。お姉さんと呼んでもダメですかね?」内海陸はもう泣きそうだった。内海唯花は彼の耳を掴む手を緩めた。そして、二度彼の顔をパンパン叩き、笑っているのかいないのかわからない表情で言った。「私ってあんたの姉さんだっけ?」「はい、はい、その通りです。私たちは同じ祖父母の孫同士ですんで。あなた
続きを読む

第226話

「そうよ、私はひどい人間よ。義理人情のかけらも持ち合わせてないわ。だけど、あんたたちはどうなのよ?当時、あんたの両親が私にどうしたのか、小さい時は知らなくても、大人になった今も知らないっての?もう過去のことだから、今になっても騒ぐななんて言わないでよね。あいつらが私に何をしたのか、私は全部覚えているわ。一生ね!」内海陸は口を開いて反論しようと思ったが、できなかった。最後に彼は起き上がると、唯花に背中を向けて逃げ出した。内海唯花はそれを追いかけ、ひと蹴りで彼を地面に倒し、荒っぽく彼の服を掴み元の場所へと引きずり戻した。地面との摩擦で痛みが走り内海陸はまたわあわあと叫び声をあげた。彼を仲間たちの方へと放り投げ、内海唯花は彼らに警告して言った。「ここで大人しく警察のおじさんが来てあんたらを救ってくれるのを待ってなさい。また誰か逃げようものなら、その時は本気で容赦しないわよ」彼らは内海唯花の凶悪さに恐れおののき、誰一人として逃げようとはしなかった。内海陸はひたすら内海唯花に罵声を浴びせていた。内海唯花の顔色がだんだん暗くなり、もう一度彼に警告した。「もう一度言ってみなさい。そうしたら私も容赦しないから」それを聞いて恐怖した内海陸は黙りこくった。そしてもうそれ以上内海花唯を悪く言う度胸はなかった。しかし、心の中では彼女の先祖にまで文句を言っていた。……唯花の先祖って、それはあんたと同じだろう?内海家の先祖の方々に知られたら、絶対「全く不孝者の子孫どもめ」と叱られるだろう祖先まで出してきて罵るというなら、お前らの責任だ、子々孫々を呪ってやるぞ。結城理仁は内海唯花が完全に優勢なのを見ていた。そこには彼がヒロインを救う白馬の王子になる機会などなかった。もちろん唯花が劣勢になったとしても、彼はその場に姿を現すつもりはなかった。最悪、七瀬以外のボディーガードに指示して彼女の助けをするくらいだ。彼は内海唯花が空手を習っていたことは知っていたが、まさかこれほどまで強いとは思っていなかった。さっき彼女がやられるのではないかと心配してまったく損した。あの数人の不良たちは、彼女の袖に触れる機会さえなかった。「車を出してくれ」結城理仁は低く落ち着いた声で指示を出した。「七瀬、彼女に見られるなよ」結城理仁は七瀬に一言注意するの
続きを読む
前へ
1
...
181920212223
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status