交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています のすべてのチャプター: チャプター 131 - チャプター 140

178 チャプター

第131話

内海唯花は電動バイクだから、渋滞もなんのそのだ。たった十数分で結城グループに到着した。内海唯花はバイクを止めると、後ろを振り向いて神崎姫華に言った。「着きましたよ」神崎姫華はヘルメットを外して唯花に手渡し、彼女にお礼を言った。「大した事じゃないですから、お礼なんていりませんよ」神崎姫華は内海唯花を見ながら言った。「あなたのお名前を伺ってもいいかしら?なんだかあなたに見覚えある気がするんだけど、以前どこかでお会いしたことある?」「私は内海です。あなたには好感を持ってますけど、残念ですが、以前お会いしたことはないかと思いますよ」きれいな女性に出会えば、必ず覚えているはずだ。でも、この美人さんには全く印象がなかった。「内海さんて言うんだ。あ、思い出した。最近話題になった不孝者の孫娘の話、あの責められてた子も確か内海だったわね。その時、写真もあったけど、その写真に映ってた女の子にちょっと似ているわ。もしかしてあなたなの?」神崎姫華にとって、あの自分のゴシップ記事を押しのけた『不孝者の孫娘』の話題はとても印象に残っていたのだ。アップされた内海家のあの姉妹二人の写真も覚えていた。その時、彼女は自分への注目度を下げたあの話題にぶち切れしただけでなく。内海唯花姉妹へも悪態をついていた。しかし最後に真実が明るみになり、今度は内海家の人たちを罵ることになるとは。母親は彼女に、もう二十歳過ぎだというのに、物事をちゃんと見極めることもできないで、ただ物事の一面だけを見て簡単に内海姉妹をみんなと同じように貶すなんてと注意していた。彼女が家で内海姉妹を何度も批判しているので、母親は少し興味が出てあのトレンド記事を見たいと思ったのだ。しかし、状況が真逆になった後、内海家の人たちは怒ったネット民たちによって責め立てられると、耐えられずすぐにそれに関するツイートをネット上からきれいさっぱり消したのだ。どうやら内海家の人たちも少しはコネがあるようだ。そうだ、内海家の次男の息子は神崎グループ傘下の子会社の重役だ。内海家と姉妹の状況が逆転した後、怒りを爆発させた多くのネット民たちがネット上で内海家の親族を探し出し、内海智文がどのような人物なのかまで探り、神崎グループの公式サイトで本社に内海智文を解雇するように求めるメッセージまで送ったのだった。内
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第132話

彼女は内海唯花とは貸し借りなしにしたいのだ。また唯花とは、まるで昔からの知り合いのように感じでいた。だから、神崎お嬢様は内海唯花に名刺まで渡したのだ。内海唯花もあの高級車の列が見えて、状況を理解して言った。「神崎さん、頑張って。成功するといいですね」「ありがとう」神崎姫華は花束を抱え、弁当箱を下げてあの高級車の列の方にではなく、会社のゲートまで行き、その真ん中に立った。内海唯花はそれを見て驚きあっけにとられてしまった。神崎家のお嬢様は本当に勇猛果敢だなあ。さて、結城理仁は今朝早くに家を出た。彼は別荘に必要なものを取りに帰って出てきた後、しばらく車を走らせ、また渋滞に引っかかってしまった。渋滞に巻き込まれたら、どんな車を運転していても、どんな地位の人間だとしても、誰もが無力だ。それで結城理仁は、この時ようやく会社に到着したのだ。助手席に座っていたのはちょうどあのボディーガード、七瀬だった。彼の視力はとても良いので、内海唯花を見つけて理仁のほうを向いて言った。「理仁様、奥様と神崎のお嬢さんが一緒にいますよ」それを聞いて、結城理仁は眉間にしわを寄せた。彼女たち二人がどうして一緒にいるんだ?全くつながりのない二人だろう。彼は前方を見た。彼は神崎姫華を認識することはできなかったが、内海唯花のことはすぐに分かった。なんと言っても、彼らはひとつ屋根の下でしばらくの間一緒に生活したし、キスまでした仲なのだ。もし、それでも彼女を見分けられないのであれば、彼の目は節穴と同然だ。「彼女たちのことは無視しろ」結城理仁は冷たくそう言い放つと、座席に寄りかかった。そしてだんだん彼女たちのほうへと近づいていった。七瀬は内海唯花に気づかれないように、わざと顔を背けて反対のほうを向いて唯花から顔を見られないようにした。車の列は内海唯花の前では止まらなかった。唯花は結城御曹司の派手な登場シーンを見ながら、心の中で感嘆した。あのロールスロイスを彼女は見覚えがあった。彼女のマンションで何度も見かけたあの車に似ていた。結城社長の身分を考えると、内海唯花はその車がマンションで見かけるあの車ではないとそのまま否定した。彼女は結城御曹司の車の列が神崎姫華の死を恐れず車を無理やり止めるという手段と対峙し、最終的に車を止めるところを見て笑
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第133話

神崎姫華が会社のゲート前で道を塞いでいるので、運転手は車を停止させるしかなかった。「理仁様、車を降りて神崎さんをどかしましょうか?」運転手が結城理仁のほうを向いて彼の指示を仰いだ。結城理仁は少し黙った後、車の窓のボタンを押した。神崎姫華は彼が窓を開けたのを見て、嬉々としてすぐに浮かれた様子で花束を抱え、弁当箱を持ってやってきた。「理仁」この時、神崎姫華はようやく寝ても覚めても想っている男性に会えた。彼女はいつもここまで来て、結城理仁に告白しているわけではなく、実際、彼女はもう長い間、理仁とは会っていなかったのだ。彼女は会いたくて会いたくてたまらなかったのだ!そして彼は、やはりいつものクールな様子で、彼女の中で世界一カッコイイ男性だった。結城理仁のあの固く閉じた薄い唇に視線を向け、神崎姫華は近寄ってキスをしたいと思った。彼の唇は柔らかいのかな?神崎姫華は獲物を狙う獣のように結城理仁を見つめていて、彼は顔をしかめた。「神崎さん」「理仁、私のことは姫華って呼んで」神崎姫華はキラキラした笑顔を作り、まず弁当箱を車の窓から中へと押し込み「今日は特別にあなたに朝食を届けに来たの。冷めないうちに食べて。それから、この花束はあなたにあげる」と言った。結城理仁はその弁当を受け取らなかった。もちろん花束はいうまでもないだろう。彼は男だから、花束なんて好きではないのだ。「あんなにひどい渋滞だったのに、おまえはどうやってこんなに早くここまで来たんだ?」結城理仁は神崎姫華と内海唯花が一体どうやって知り合ったのか知りたかったのだ。結城理仁に聞かれて、神崎姫華は包み隠さず微笑んで言った。「私って頭良いのよ。車をそこらへんのお店の前に止めて、うちのボディーガードにその車を運転して帰るように伝えたの。それから、一台の電動バイクを止めて、ここまで何の障害もなくスムーズに辿り着くことができたわけよ」なるほどな。それでこの二人が知り合ったというわけか。「理仁、聞いてよ、本当に不思議なのよ。私がそうやって呼び止めた人が、なんとあの最近ネットで超話題になってた人物だったの。あの『不孝者の孫娘』の張本人よ。内海さんって言うんだけど、彼女すっごく良い人で、私と彼女はまるで昔からの知り合いだったみたいに意気投合したの」結城理仁は
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第134話

「もう車の中で食べたからな」九条悟「......」「そうだ、さっき面白いことがあったんだ。聞きたいか?」結城理仁は横目で彼を見て、立ち止まらずそのまま中へと歩いて行った。硬い表情で唇をきつく閉じ、何も言わなかった。九条悟は彼の態度は好きじゃないが、知ったことを言わずにはいられない性分だから言った。「俺は早めに会社に着いたんだ。そしたらちょうどおまえの奥さんが神崎さんを送って来るのが見えたんで、立ち止まって何が起こるか見てたんだよ。君の車が会社に着く前、奥さんと神崎さんは盛り上がってたぞ。社長、奥さんと君の崇拝者はお互いに気に入ったらしい。もはや親友になりそうな勢いだけど、君はどう思う?」結城理仁は一目すらも九条悟に目線を送るのが面倒で、彼のことは無視してエレベーターに乗り、この口うるさい秘書を振り払った。九条悟も特に腹を立てず、ハハハと低く笑って、心の中でつぶやいた:こりゃ今年度一の見物だぞ。彼は、ある日社長の身分が奥さんに知られた時、一体どうなるのか興味津々だった。神崎姫華がまた来て花や朝食を持って来たので、結城理仁は神崎玲凰に再び電話をかけ、電話が通じた後、冷ややかに言った。「神崎社長、今後また君の妹をしっかりと管理しておかないなら、容赦しないからな」彼の我慢強さにも限界があるのだ。神崎玲凰は相当うんざりした様子で言った。「結城社長、姫華も度を越えたことはしてないだろ。あいつは君のことが好きで追いかけてるんだ。俺からも彼女に何度も言ったよ。でも、両足を切断するわけにもいかないだろ」彼は本当に妹をどうすることもできないのだ。誰かに妹を見張らせたとしても、彼女はありとあらゆる方法で逃げ出すだろう。「結城社長、君は俺と年もそう変わらないじゃないか。俺は結婚してもう何年も経つ。君を追いかけてる人はたった一人で、俺の妹がその一人目だろう。だから......ちょっとくらい我慢したらどうだろうか」結城理仁は直接電話を切った。神崎姫華がどんな性格の持ち主なのか、彼もよく分かっていた。神崎姫華を無視する以外に、彼が彼女に対して容赦なく向かったとしても、彼女はきっと再びやって来ることだろう。彼女の名声に傷をつけたところで、彼女はあきらめないはずだ。彼女の両足を切り落としてしまうなら話は別だが。神崎玲凰は電話を切
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第135話

「それなら良いわ。あの人たち全員仕事を失ったらもっといいのに。それから、みんなから叩かれて、ネット暴力の脅威をしかと味わうがいいわ。ホント人として終わってるもの」神崎姫華は少し横柄な性格ではあるが、それでも良心を持っている。それに彼女の内海唯花への好感度も相まって、唯花のために内海家の人間に喜んで仕返しをするのだ。それで唯花への借りを返すと思えばいいわけだ。どういっても、内海唯花が彼女を結城グループまで送ってくれたおかげで、彼女は今日結城理仁に会うことができ、彼と話すこともできたのだから。「お兄ちゃん、私家に帰ってお母さんの傍にいるから、お兄ちゃんは仕事してちょうだい」神崎姫華はそう言うと電話を切った。兄の貴重な時間をこれ以上無駄にしないように。神崎家の邸宅は、結城家からそう離れていない。しかし、家までのルートが異なる。もし、同じルートだったら、神崎姫華は直接行く途中で結城理仁の車を邪魔することができるのに。あ、そうだ、理仁はあまり実家に戻らないから、同じルートだったとしても、それは難しい話だな。東京において二番目に大きな名家として、神崎家の邸宅は非常に豪華な造りで、敷地面積もとても広かった。結城家は荘園スタイルで、神崎家もそれと同じような造りにしていた。この時、煌びやかな客間で、中年の貴婦人がソファに座り、一枚の写真を持ってそれを見つめていた。しばらくの間それから視線を他所には移さなかった。神崎姫華がそこへ入って来ると、母親のその様子が目に入り、近づいて行って手を伸ばし母親の手にある写真を取り上げて言った。「お母さん、毎日毎日この写真を見つめないで。おばさんが生きていれば、私たちは必ず彼女を見つけ出せるから。気を楽にして、そんなに心配ばかりして、くよくよするとますます鬱になるじゃん」神崎家の亭主が水を一杯持ってきて、娘の話を聞くとそれに同意して言った。「おまえ、姫華の言う通りだ。いつもいつもその写真ばかり見てないで、私たちはもう多くの人を手配して捜索してるから、きっと知らせが来ると信じて待っていよう」彼は妻にその水を手渡した。夫婦二人は若い頃は仕事が忙しく、二人きりで過ごす時間は少なかった。やがて息子が跡を継いで彼は退職し、妻と一緒に老後をゆっくりと過ごしたいと思っていた。その会ったことのない妻の妹の
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第136話

彼のその義妹が今生きているのか、死んでいるのかも分からないのだ。「私たちがバカンスに行って気晴らししてる時に、もしかしたらお母さんの妹さんか彼女の子供たちにたまたま会うかもしれないでしょ」神崎夫人は少し黙った後言った。「私と妹が別れた時、妹はとても幼かったわ。女性って大人になるとすごく変わるでしょ。私も今彼女が大人になってどんなふうになってるのか分からないわ。あの子の子供に出会ったとしても、それが私の甥や姪だって分かる?」「いいから、さあ、バカンスに出発よ」娘の孝行心に背きたくないので、神崎夫人はすぐに元気を出し、娘と一緒に海へバカンスに行くことに決めた。母親が同意したのを見て、神崎姫華は父親とお互いに目配せし、なにかしら話題を見つけて母親と話し、そのまま今日のことに話題を移した。彼女は嬉しそうに言った。「お母さん、今日ね、理仁に会えたのよ。彼が車を止めて、車の窓を開けておしゃべりしてくれたの。でも残念だけど、車の中に押し込んだ花束を彼は外に投げ捨てちゃったわ」神崎夫人「......」「それから、新しい友達ができたの。彼女の名前は内海唯花って言って、昔からの知り合いみたいな感覚になったわ。不思議なことに、私彼女を見たとたん、親近感が湧いたの。それに私のことも助けてくれてね、名刺を彼女に渡しておいたわ」神崎夫人は尋ねた。「あのひどい親戚たちからモラハラ受けてた可哀そうな姉妹の妹さんのこと?」「そう、彼女よ」「あなたたち二人は本当に縁があるのね。お互いがネットで話題になった時期も一緒だし、この世には人がたくさんいるのに、車を止めた相手が彼女だったなんて。それに彼女は親切にあなたを結城グループまで送ってくれて、未来の旦那さんを追いかける手助けをしてくれたのよね」神崎夫人はまた娘をからかって言った。「しかもあなたが彼女を友達認定するなんてあり得ないことだわ。あなた、あとで一緒に空を見つめてみましょ、雪が降ってくるかもしれないわ。あなたの可愛い娘に友達ができたのよ」「お母さんったら!」神崎姫華は納得できずに、叫んだ。「あなたの娘に友達ができたらおかしい?私と唯花ちゃんはすごく意気投合して、彼女にはすごく親近感があるのよ。それに彼女は私と理仁の仲を頑張れって応援までしてくれたの」「あなたったら、結城理仁のこととなる
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第137話

内海唯花が店に戻った時、金城琉生もそこにいた。彼女は微笑んで彼に挨拶をし尋ねた。「琉生くん、今日は仕事に行かなくていいの?」金城琉生は内海唯花を見つめながら、その瞳の奥に彼女への恋心を宿していた。「昨日の夜は遅くまで残業していたから、今日はちょっと遅めに会社に行っていいんです。唯花姉さん、今日はなんでこんなに遅くなったんですか?」金城琉生は何げなくそう尋ねたようだったが、実際は内海唯花とスピード結婚相手の旦那との近況を探りたかったのだ。明凛姉さんから内海唯花の現夫は、あのネット大騒ぎ事件で彼女をたくさん助けてくれたらしい。さらに彼女と一緒に彼女の故郷に戻って反撃するための証拠を集め、彼女は彼に非常に感謝しているらしいのだ。金城琉生は心の中でこう思っていた。自分だって唯花姉さんを助けたかった、でも彼女が彼にその機会をくれなかっただけだ。あの日彼が唯花に電話をしても、彼女は電話に出てくれなかったじゃないか。結局最後に、内海唯花はようやく彼にメッセージを返し、大丈夫だからと伝えた。「さっき途中で、ある女性が困ってたから、彼女を助けてあげて、それで来るのが遅くなったのよ。良い匂いね、明凛、何食べてるの?」内海唯花は本来レジに座るつもりだったが、美味しそうな香りがしたので、方向を変えて、キッチンのほうへと向かった。金城琉生も彼女の後に続いた。本当に数歩前に近寄り彼女を抱きしめてしまいたかったが、彼にそんなことはできない。彼の素養がそんな勝手気ままな行いを許さなかったし、内海唯花に対してそんなふざけた真似などできないのだから。彼は彼女のことを愛している。彼女のことを尊重し、いくら親密になりたくても、抱きしめたくても、たとえキスをしたくても、彼はその気持ちを必死に抑え込むしかない。だって、彼女は今や既婚者なのだから。それを思うと、金城琉生の心の奥はチクリと痛んだ。内海唯花の目には彼はただの弟としか映っていない。彼女がスピード結婚する必要があっても、この弟である彼をその相手として選択肢に入れることはないのだ。「俺が家から唯花さんと明凛姉さんに持って来たんです」牧野明凛は答えず、金城琉生が内海唯花に教えた。彼はこの二人の姉に愛情のこもった朝食を持って来たのだ。金城家も名家で、家にいるシェフは大金をはたいて五つ星ホテルから雇ってき
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第138話

「いいわ、じゃあ、そうしましょう」内海唯花は気持ちよく答えた。金城琉生はすっかり満足していた。土曜日が来るのがとても待ち遠しかった。その時、何台もの車が突然、店の前に止まった。金城琉生は「ちょっと出て見てきます」と言った。彼は店のドアのほうへ向かって歩いて行った。そしてすぐに彼が戻って来て、内海唯花に言った。「唯花姉さん、あのひどい親戚たちが来たみたいです」内海唯花はすっかりお腹いっぱいになっていて、ティッシュで口元を拭きながら言った。「来たいなら来ればいいわ。あいつらなんか怖くないし」あのクズ共がここを探し出すのも、唯花は全く意外ではなかった。多くのネット民たちのおかげで、彼女のおじや、いとこたちの仕事が公になり、彼らが良い暮らしをしていることが明らかになった。そして二度もネットでトップの話題になったくらいだから、彼女と姉の居場所を探し出すことくらい朝飯前なのだ。「内海唯花」内海智明を筆頭とした内海家の兄弟たちが、全部で七、八人やって来た。彼らはみんな全身ブランド物を身にまとい、それぞれ手には鍵をぶら下げ、しょっちゅう鍵が左右に揺れ、まるでその鍵たちが黄金で作られたものかのように見せびらかせていた。しかし、彼らは疲労の溜まった表情をしていて、内海唯花の反撃が彼らに深手を負わせたのは間違いない。しかも、怒り狂ったネット民たちから大叩きに遭ってしまったのだろう。内海唯花はわざとおばあさんの病院での状況を尋ねなかった。しかし、親切心のある人が我慢できずに彼女に個人的に連絡をし、おばあさんは病院でも穏やかに過ごせていないと教えてくれた。大勢の人がおばあさんの病室まで行き、批判をしたのだ。それはあの気の強いおばあさんを怒らせるのに十分だった。親に従順な子供と孫たちがみんな病院にいても、たった一人の病人を守り切ることができないのだ。ハッ!「あら、今日はどういう風の吹き回しかしらね。全員ここまでやってきて、大賑わいじゃない」彼女の多くのいとこたちは、今回、都内まで来てはいなかった。しかし、当初ネット上でも多くのフェイクニュースがみんなの注目を集め、よく事情を知らないネット民を武器にして、ひとこと、内海姉妹は内海家という大きな一族の中で誰も味方がいないと言っていた。内海唯花はレジに入り、椅子に腰掛けると、ビーズ細
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第139話

「だけど、あんたたちのモラルハラスメントには本当に呆れたわ。事実を捻じ曲げられて、不孝者だとかいう悪評までされた。だからお見舞いになんか行かないし、お金も出したくないわ。あんたたちは私にひどいことを言ったでしょう。あんたたちのところまで行ってまたサービスで叱られてあげろっての?」「内海唯花、あの人たちは俺らの祖父母だぞ。ばあちゃんに怒られたからって痛くも痒くもないだろうが。おまえたちは二人の老人の面倒を見る必要はないけど、少しでも孝行心がある人間なら、少しくらいの生活費くらい出すだろ。君たち姉妹は長年実家に帰って会いにも来ないし、生活費すら出さないし。よし、君たちがもし本心からそれでもいいと思うなら、俺たちだって何も言わないさ。俺たちが書いたツイート記事はもう消したんだから、君もそろそろ自分のツイートを消すべきじゃないのか。こんなふうにされたら、俺たちへの影響は大きくなるって分かってるはずだ。これはネット暴力だ、訴えたっていいんだぞ。でも、いとこだってのを考慮して、個人的に話し合って、裁判沙汰にはしたくないんだよ」話したのは内海智文で、内海家において、この代の人間では一番成功していて将来が約束されている人だ。彼が話している時、上から目線の偉そうな態度で内海唯花を教え諭すような口ぶりだった。口をついて出る言葉は相変わらず、唯花姉妹が生活費も出さず、実家に帰って祖父母に会いに来ることもしない不孝者であると責めるものだった。当時、祖父母が契約書にサインし、生きている間の世話も死んだ後の墓の世話も必要ないという話を内海智文は無視していた。内海唯花は冷ややかに笑った。「さっさと訴えたらどうなの。裁判所から召喚状が来るのを待っててあげるから。それから、あなたたちにネット暴力?先に私たち姉妹にそうしてきたのはあんたたちの方じゃないの?なによ、あんたたちが私たちにネットを利用していじめるのは良くて、私たちが真実を晒すのはダメだっていうの?私は別にネットのサクラを雇って、事を大げさにさせて、あなたたちをいじめてはないわよ。あれはただあんたたちが度を過ぎたことをやったから、ネット民たちが見ていられなくて、あんたたちの素性をかき集めてきたわけよ。そうよ、私たちには孝行心なんてないから、あの二人に生活費を渡さなかったわ。ちょっとお聞きしたいんですけど、内海さん、
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第140話

内海唯花の一番下の従弟はまだ17、18歳で、まさに血気盛んで、何にでも衝動的に突っ走る年頃だ。気性も荒い。内海唯花が始終病院に行くのを拒み、ツイートを消すのも拒否し続けるのでこの子供は腹を立てて、唯花の書店を壊してやると騒いでいるのだ。内海唯花は冷ややかな目つきで彼をさらりを見て、冷たい口調で言った。「私の店を潰そうってなら、やってみなさいよ!」彼女のその目つきは氷のように冷たく、口調も高圧的で内海家の兄弟たちを委縮させた。「おい」内海智明は一番年が小さい従弟のほうへ顔を向けて睨みつけ、相手を黙らせた。そして彼は内海唯花のほうへ向き直し、無理やり笑顔を作って言った。「唯花、こいつのことは無視してもらっていい。いつもこんな話ぶりなんだよ。唯花、さっき智文もああ言ってただろう。俺たちはどうあっても親戚のいとこ同士だから、血縁関係も近いし、どちらも同じ内海っていう苗字じゃないか。俺たちが立場を失っても、おまえは平気なのか?今回の件は俺たちの間違いだ。君に謝罪してそれで終わりにしてもいいだろう?金は君たちがもう出す必要はない。俺たちはただ君にばあちゃんの見舞いに行ってもらいたいだけなんだよ。ばあちゃんは本当に君たちに会いたがってる。この二日、じいちゃんもばあちゃんもずっと自分のことを責めてた。昔君たちにあんな無情なひどいことをしてしまったって。君の両親にも申し訳なかったって。唯花、俺たちはみんな聖人じゃないんだ。誰だって過ちを犯すもんだ。間違えたらそれを過ちに気づけばいい。じいちゃんもばあちゃんももう結構な年だし、自分たちの過ちにも気づいた。彼らに謝罪する機会をあげてくれよ」双方の関係が改善され、家族としての情が芽生えてこそ、内海唯花はツイートを消して、今回の件を終わらせることができる。お金に関しては、彼らが今欲しいと思っても、それは無理な話だから、諦めるしかない。実際は、今彼らはみんな後悔していた。内海唯花が一族の醜い一面を世間に暴露し、この機に仕返しをして彼らにここまで大きな影響を与えるようなしたたかさを持ち、手ごわい人物だと知っていれば、彼らは絶対にこのような手を使わなかったのに。彼らは唯花姉妹は体面を気にすると思っていた。また彼女たちを助けてくれる存在はいないとも思っていたのに、双方の状況が逆転した後、あんなに多く
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