海咲は目を覚まさなかった。白夜は彼女の耳元で何度も繰り返し語り続けた。そしてついに、海咲は目を開けた。目の前の白夜を見て、彼女の目には徐々に意識が戻り始めた。「白夜……私たち、ここはどこ?」白夜はすぐに答えなかった。その唇はまっすぐに結ばれ、深刻な表情が浮かんでいた。彼が海咲に再び出会った時、彼女が記憶を失っているのではないかと疑った。しかし今、彼は大きな問題に気付いた。海咲の記憶に歪みが生じているのだ。「ここは山の洞窟だ。お前が高熱を出して倒れたから、もうこれ以上進むのは無理だと思った」そう言いながら、白夜は海咲の目をまっすぐ見つめた。「音ちゃん、俺の話をよく聞いてくれ。重要なことを伝え
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