海咲が言葉を切り出し、「こんにちは、温井海咲と言います」と自己紹介をしたところで、州平が二人の会話を遮るように、「もう行くぞ」と冷たく言い放ち、話を終わらせた。おばちゃんが子どもを宥めたことで、子どもはようやく泣き止んだ。その後もチャナは隊列に加わったが、彼女の視線は常に海咲と州平に向けられ、その様子を注意深く観察していた。不安を隠せないチャナは、州平がうっすら汗をかいているのを見ると、すぐに機会を伺ったように懐から刺繍入りのハンカチを取り出し、「葉野隊長、汗をかいていますね。私が拭いて差し上げます」と手を伸ばした。しかし、州平は彼女が触れる前に顔を横に向け、距離を取りながら冷たく「必要
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