次の瞬間、悟はすぐに立ち上がった。悟は州平に近づき、手を伸ばして脈を取ろうとした。しかし、州平はその手を避けて、「美音に信頼できる心理専門家を紹介してやってくれ」と冷たく言った。悟は美音の件を聞いて、顔を曇らせた。「兄さん、もう結婚して三年も経ってるのに、そんなことして海咲がどう思うか心配しないのか?」州平は淡々と答えた。「ただの手助けに過ぎない」彼と美音の間には、常に距離を保っていた。しかし悟は信じていなかった。悟は皮肉を込めて言った。「夫婦関係は助け合いから始まるものだ。結婚してしまった以上、それは縁なのだから、大切にしなければならない」悟は州平の肩を軽く叩いた。彼は少し余計なことを言ってしまった。州平は淡々と「うん」と一言答え、その表情は冷たく無感情であった。彼がここに来て話をした以上、悟は手助けをしないわけにはいかなかった。悟は心理専門家との連絡を取り始めた。州平はその間、スマホの画面をじっと見つめていたが、特に何も表示されることはなかった。そのころ、海咲は歩道を沿って歩きながら、夜風を感じ、川井亜に電話をかけた。「少しお腹が空いたわ。外食を頼んで、今からタクシーで向かうわ」「分かった」亜は了承し、電話を切った海咲はタクシーを拾った。悟は心理専門家の佐藤由美に連絡を取った。「彼女は佐藤由美、私の大学の同級生で、二次病院の心理専門家です。女性だから、外部には友人と伝えてもらえる」悟は自分の人脈を思い出し、ようやく佐藤由美を思い出した。彼は普段とても忙しくて、こうした人たちとはあまり連絡を取っていなかった。特に、女性の知り合いとなると。州平は淡々と「明日の昼に予約してくれ」と指示した。「うん」悟はそう言われた以上、仕方なく承諾した。悟は州平がスマホをじっと見つめているのに気づき、少し心配そうに聞いた。「こんな風にしていると珍しいけど、今夜は当直だから、一緒に飲む時間はない。問題があるなら、積極的に解決しなさい」州平は悟を一瞥し、目を細めたままであった。悟は州平の背中を見送りながら、頭を振った。州平は病院を出るとすぐに海咲に電話をかけたが、海咲は通知を受け取らないモードになっており、電話は応答されなかった。彼女は電話に出るつもりはないようだ。都市で海咲が行ける場所は川井亜だけだろうと州平は思った。州平はスマホを
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