四貴ばあやは年老いており、他の管理人たちとは別に、小さな独房に収監されていた。他の牢獄に比べれば、比較的清潔な環境であった。刑部に入れられて以来、彼女は水も食事も口にせず、一言も発することはなかった。今中具藤が自ら尋問に赴き、食事を勧めてみたものの、彼女は牢の中で横たわったまま、死を待つかのような様子を見せるばかりだった。玄武にも分かっていた。彼女が大長公主に不利な証言をするはずがないことを。大長公主は彼女が育て上げた子。その絆はとうに主従の域を超えていた。これまで大長公主の側近は入れ替わり立ち替わりしてきたが、唯一彼女だけが最後まで側に仕えてきたのだ。そしてそれゆえに、大長公主の全ての秘密を知る立場にもあった。むしろ、陰謀の数々は彼女の手を経て実行されてきたものも少なくなかった。「今中具藤が今日、土方勤を取り調べたそうだ」と玄武はさくらに告げた。「大長公主は本来、お前の従兄の顔を傷つけた上で一家皆殺しにする予定だったらしい。だが四貴ばあやが土方勤に命令の実行を止めさせたという。もし彼女が止めていなければ、一家そろって黄泉の客となっていたところだ」「本当に狂ってしまったのね」さくらは怒りを露わにした。「母に似た女たちを手段を選ばず連れ去って、東海林椎名の側室にして子を産ませる。父に似た者は顔を潰してから一家皆殺しにする?正気の沙汰じゃないわ」「だからこそ、四貴ばあやだけが知っているはずなんだ。大長公主がどれだけの人々を害してきたのか。大長公主邸では謀反の企みだけでなく、こういった血なまぐさい罪も重ねられてきた。陛下は後者にはお構いにならないだろうが、生きている被害者も、亡くなった方々も、どちらにも正義が必要なはずだ」さくらは玄武の言葉に頷いた。謀反は重罪には違いないが、大長公主に害された一人一人にとって、それは掛け替えのない人生だった。どうして理不尽に踏みにじられなければならなかったのか。「私が話してみる」「では、尋問室に連れて来させよう」「拷問道具は置かないで」玄武は微笑んで答えた。「尋問室に拷問道具など置いてはいない。専用の部屋があってな。必要な時は囚人を向こうへ連れて行くか、道具をこちらへ持ってくるかだ。それに、今回の取り調べではまだ一度も拷問は使っていない。さあ、案内しよう」刑部は威厳に満ちた壮麗な建物で、
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