「要件?いいさ、教えてやる。あんたのせいで、紀美子は今生死を彷徨ってるんだぞ!」塚原悟は驚いた。「生死……?一体どういうことだ?」「あんた、一体どこまで白を切るつもりだ?」露間朔也は狂いそうになった。「塚原、あんたそれでも人間か?あんたは自分が病院にいたからって、アリバイがあるとでも言いたいのか?紀美子の一体どこが悪かったんだ?なぜ彼女にあんなことをした!理由を教えろ!その知らんぶりはやめろ!」悟の眼差しは全く動揺しなかった。「朔也、冷静になれないのか?君が言っていること、全然わからない!今一番知りたいのは、紀美子の状態だ!なぜ生死を彷徨っているんだ?」「彼女は銃で撃たれたんだ、2発も!」朔也は怒りを抑えきれずに怒鳴った。「心臓から僅か3センチしかなかった!彼女は危うく狛村に撃ち殺されるところだったんだぞ!」それを聞いた悟は思わず心臓がドキりとした。彼は朔也の手を振り解き、いきなり立ち上がって診断室を飛び出していった。「おい、どこに行くんだ?」朔也は叫んだ。「紀美子を見てくる!」悟は振り返らずに返事した。「今更あんたが行ったってどうにもならんぞ!」朔也は悟を呼び止めようとした。「それに誰もあんたになんか会ってくれないぞ!」それを聞いて、悟は立ち止まった。我に返った彼は、悟に尋ねた。「なぜだ?」朔也は冷たい目線で悟を見つめた。「俺も翔太さんも、狛村に指示したのはあんただと思っているからだ」「私が、あんな人間と……」悟は頭を垂らし、無力に苦笑いをした。「違うか?」「証拠は?」「証拠があったらとっくにあんたを捕まえて紀美子に謝罪させ、ここであんたを問い詰めてなんかいなかった!」「なぜそこまで私がやったと信じている?」悟は尋ねた。「狛村が死ぬ前に言ってたぞ!」朔也はわざと狛村が言っていた話の内容をはっきりと言わず、悟の反応を伺った。「なるほど」悟は口を開いた。「他人の一言で、俺が黒幕だと思い込んだのか」そう言って、悟は朔也を見た。「では聞こう、もし私が紀美子に何かをしようとしたら、チャンスはいくらでもあったんだろ?私は医者だ。どんな薬を使えば人を殺せるかよく知っている。一歩引いても、長期での毒物投与だ
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