レストランへ向かう途中、とわこはボディーガードに指示した。「私がアメリカにいる間の予定は、誰にも漏らさないで。マイクにもダメよ。彼は今や半分奏の味方みたいなものだから、監視されるのは嫌なの。もし誰かが私について聞いてきたら、『家で休んでいる』って答えて」ボディーガードは頷き、「私は買収されることはありません」と言った。とわこは眉を上げて驚いた。「買収されそうになったことがあるの?」ボディーガードは少し戸惑いながら、再び頷いた。「奏のアシスタントが試みましたが、きっぱり断りました」とわこは息を飲んだ。マイクがすでに奏のアシスタントに取り込まれているのに、彼はまだボディーガードまで買収しようとしているとは!彼女の生活に完全に入り込もうとしている!妊娠しているだけで、ここまで警戒する必要があるのだろうか?彼がこれほどまで執拗になるほど、彼女は彼に自分の行動を知られるのが嫌になった。車はレストランに到着し、とわこは無事に以前の顧客と会うことができた。顧客は彼女を見ると感謝の言葉を口にした。「先生、父の病状がずいぶん良くなりました。本当に感謝しています。以前、別の患者さんを紹介すると言いましたが、今日はその方のカルテを持ってきました。友人に頼まれたことで、断るのが難しくて......もしお時間がなかったり、体調が優れなければ、引き受けなくても構いません」とわこは微笑んだ。「せっかくカルテを持ってきていただいたのですから、まず見せてください」「先生、やはりあなたは医者としての心がけが素晴らしいです。妊娠中で大変でしょう?もしこの件を引き受けていただけるなら、出産後でも構いません」顧客は気遣うように言った。とわこは頷き、「分かりました。急がないようでしたら、カルテを持ち帰って検討させていただきます」「もちろんです。先生、これはほんの気持ちですが、ぜひ受け取ってください」顧客は袋を差し出し、「私がデザインした子供用のジュエリーです。お嬢さんがいらっしゃると聞いて、お渡ししたいと思いました」と言った。とわこは一度は断ろうとしたが、相手の善意を拒むことができなかった。加えて、レラはおしゃれが大好きなので、きっと喜ぶだろうと思い、しばらく考えた末に受け取ることにした。夜9時、とわこはサマーキャンプの教師からの電話
Last Updated : 2024-12-25 Read more