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第0273話

綿は玲奈を家まで送り届け、そろそろ帰ろうとしたところ、玲奈が尋ねた。「明晩の芸能界のパーティー、来る?」

綿は玲奈を見つめた。

玲奈は突然歩み寄り、車の窓に体を寄せて、前髪を吹き飛ばしながら、小さな可哀想な表情を見せた。

彼女は本当に綿にも来てほしかった。一人でパーティーに参加しても、知り合いがいなくて本当に退屈なのだ。

綿は彼女がそんな可哀想な表情をしているのを見て、深いため息をついた。本当に、この美しい女性を拒むことはできない!

「はいはい、行くよ」綿は仕方なく答えた。

玲奈は嬉しそうに笑顔を見せ、「じゃあ、明晩ね」と言った。

「その時、あなたの注目を奪っちゃうかもね」綿は冗談を言った。

玲奈は気にしない様子だった。

綿を見送った後、玲奈はようやく家に戻った。

帰り道、綿は今夜のニュースをちらりとチェックした。

幸いにも、彼女が参加したレースやその際に行った過激な行為は報道されていなかった。

綿は突然、お腹が空いたことに気づき、雅彦に電話をかけた。「わたしが食事に連れて行ってあげるわ」

雅彦の車はすぐに追いついてきた。

綿は車窓越しに彼を見て、微笑んだ。

車は加速し、二台の車は一前一後に走り、最終的には南城市立大学の前で止まった。

雅彦は車のドアを開け、周りを見渡しながら言った。「何を食べる?」

「四川料理」綿は答えた。

なぜだかわからないが、どうしても四川料理が食べたくなったのだ。

雅彦は綿と一緒にその四川料理店に入った。

店主は綿の顔を見ると、とても親しげに声をかけた。「お嬢さん、また来たのね。今日もお二人ですか?どうぞ、二階へ」

綿は頷いた。

雅彦は尋ねた。「誰と来たの?」

綿が答えようとした瞬間、店主が壁に掛けた一枚の写真が目に入った。

綿が階段を上がる足取りがゆっくりになった。階段の壁には、店主と客の写真がずらりと並んでいた。

中でも一枚の新しい写真が、まだ油汚れに染まっていない状態で綿の注意を引いた。

「おや、高杉社長と一緒だったんだな」雅彦は冗談めかして言った。

綿は彼を睨みつけ、階段を上がっていった。

雅彦はその写真をもう一度じっくりと見つめた。

実際、綿と輝明はとてもお似合
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