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第0259話

山の高台では、人々が円を描くように集まり、賑わいを見せていた。

綿は、目の前に広がる森林と舗装された道路を見下ろしながら、心がざわつくのを感じていた。

「走りたくなってきたんじゃない?」耳元で玲奈の声が聞こえた。

綿は振り返った。

玲奈は黒い服に身を包み、マスクと帽子で顔を隠し、とても控えめな姿だった。

「私のこと、よくわかってるね、玲奈!」綿は笑いながら言った。

彼女は今夜、黒いショート丈のトップスにパンツスカートを合わせていて、髪は巻き髪で無造作に背中に垂らしていた。メイクもばっちりで、一目見ただけで彼女が「ギャル」だとわかるほどだった。

「それじゃ、遊んでみれば?安全に気をつけてね」玲奈は一方のエントリー場所を指さした。

綿は少し緊張して、「久しぶりだからね」

「負けるのが怖い?」玲奈は微笑んだ。

綿は玲奈よりもさらに明るい笑顔で答えた。「何年も走ってない私に、このチームの連中が負けたら、彼らが自信喪失しちゃうでしょ」

彼女は負けるのを怖がっているわけではなかった。

「何言ってるのよ」玲奈は綿の腕に軽く触れ、「1ヶ月後、後悔しないよね?」と問いかけた。

「何のこと?」綿はわざと聞こえなかったふりをして、玲奈に近づいた。

玲奈は口をとがらせ、綿がわざとだと気づいた。それでもう一度言った。「1ヶ月後に離婚届を出すんでしょ?本当に後悔しない?」

「玲奈、さっきの言葉取り消すわ」さっきは玲奈が自分のことを理解していると褒めたのに、と綿は言った。

その時、雅彦が走り寄ってきて、興奮した様子で言った。「ボス!今回のイベントには、プロのチームが一つ参加するって!」

今日のレースは少し特別なようだった。もともとアマチュアチームの気軽な競技だったが、プロのレーサーが加わることで、レースの雰囲気は一変した。

「出る?」雅彦は綿に尋ねた。

「勝てないわ」綿は首を振った。

雅彦は唇をとがらせ、「謙虚にならなくてもいいよ」と言った。

その時、背後を通りかかった誰かが言った。「神秘7が引退してから、この界隈のレースはどんどんつまらなくなってきたな」

「本当だよ。どいつもこいつも野良チームばかりで、目だけは高くて、誰をも見下してばかり。全然マナーもないし!」

「はぁ、神秘
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