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第432話

三人はふと、里香が初めて祐介のいるバーに行って酔っ払った時のことを思い出した。

あの時、里香は祐介にしがみついて離れなくてさ。

「ビールだけだし、一本くらい平気だよ」って、里香は気にしてない様子で言った。

「里香が平気って言うなら一本で十分じゃん?」と、かおるも賛同した。

祐介は笑いながらビールを受け取って、そのままプルタブを引いた。

飲もうとした瞬間、ドアのノック音が響いた。

「こんな時間に誰が来るの?」と、不思議そうにかおるがつぶやいた。里香も不思議そうに目を向けた。

祐介は気にせずビールを手に取って、一口ぐっと飲み込んだ。誰が来ようが、どうでもいいって感じだ。

かおるがドアを開けると、そこには二人立っている。すぐにドアを閉めようとしたけど、月宮がすかさず手で押さえ、ニヤッと笑って「閉めてどうするんだ?やましいことでもしてたか?」とからかうように言った。

「何言ってんの?アンタらなんか見たくもないわよ!ここは私の家なんだから、ドアを閉めるのも勝手でしょ?黙っててくれる?」と、かおるは冷たく言い放った。

月宮は少しムッとした顔になった。

この女、冷たすぎるだろ!昨夜は一緒に寝てたくせに、朝になったらまるで他人扱いで、今は火薬でも食べたかのように怒ってるんだ。

月宮は歯を食いしばって、ぐっとドアを押し開けた。「俺が口出ししちゃ悪いか?」

彼の大柄な体が前に出ると、かおるは思わず後ずさりし、堂々と二人が部屋に入ってくるのを、ただ見守るしかなかった。

かおるは指をさして叫んだ。「出て行け!誰が入っていいって言った?住居侵入ってわかってんの?さっさと出て行け!」

月宮が急にかおるに近づいてきて、かおるはびっくりして数歩下がった。「な、何よ、何するつもり?」

月宮は鼻で笑って、「そんなにビビってるくせに、よくも俺に反抗できるな」

かおるは苛立ちながら、「てめぇ......!」

二人の様子は、今にも喧嘩を始めそうな勢いだ。

里香があきれたように言った。「かおる、ご飯でも食べに来なよ」

雅之が来ている以上、かおるが彼らを追い出すのは無理だって里香もわかっていた。

それなら、まずはご飯でも食べよう。彼らが隣で見たければ勝手に見てればいいんだし。

かおるは月宮を睨んでから、席に戻って「さあ、食べよう。ゴミどものせいで気分悪くならないように
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