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第430話

祐介はすぐに笑顔を見せ、「それじゃ、ちょうどタイミングが良かったな。待っててくれ!」と言った。

「うん」

電話を切った。

里香が顔を上げると、かおるが意味深な笑顔を浮かべているのが目に入った。あまりにも不気味な笑みだったので、里香は疑わしげに聞いた。「何を笑ってるの?」

かおるは舌打ちして、「あんた、どうやら本当に吹っ切れたみたいだね。最初はNo.9公館の純情ボーイ、次はバーのプリンス祐介、次は誰かな?あんた、そのうち『モテ女』の称号を手に入れるぞ」

里香:「......」

「考えすぎだよ。星野が私を助けてくれたし、祐介も何度も助けてくれたよね。だから人を利用して捨てるようなことはできないよ」

かおるは「チッ」と声を上げた。

里香:「......」

もう話す気になれない。だが、かおるはそれで終わりにする気はなく、「冗談抜きでね、星野もいいけど、祐介はもっといいんじゃない?それに彼は喜多野家の人だし、雅之とも渡り合えるんじゃないの?」と続けた。

里香は呆れた顔をして、「祐介兄ちゃんに雅之と渡り合ってもらうなんて......どうしてそんなことになるの?」

かおるは、「あんたのスタイルの良さと、そのお尻のプリっとした形でだよ」とふざけながら言った。

里香:「......」

本当に参った。

里香の呆れた顔を見て、かおるはすぐにおどけた笑顔を浮かべ、「冗談だってば。私はただ、雅之から離れたら、誰と一緒になっても幸せになれると思ったんだよ」と言った。

里香は、「なんで必ず誰かと一緒にならなきゃいけないの?一人でも幸せに生きられるよ」と答えた。

「悟ったね!」

かおるはすぐに親指を立ててみせた。

男の人なんていらないじゃないか?自分で豊かな生活を送っていればいいんだ。何でもできるし、そもそも男なんて必要ない!

約40分後、ドアがノックされた。

里香が立ち上がってドアを開けに行くと、かおるは急いで服を着直した。里香の前では気楽にしていられたが、祐介の前ではそうはいかない。だって、面子もあるから。

「祐介兄ちゃん、久しぶりね」

里香がドアを開けると、赤い髪に染めた男性が立っていた。彼女は目を細めて、微笑んだ。

祐介は両腕を広げ、「こんなに長いこと会ってないのに、ハグもしないのか?」と言った。

彼の美しいタレ目が淡い感情を漂わせている。そ
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