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第326話

祐介は「君はまだ若いんだし、何か仕事を見つけて自分を忙しくした方がいいよ。毎日ぼんやりしてると、精神的にしんどくなるかもしれないからさ」と優しく言った。

里香は「うん、考えておくね」と軽く返事をした。

すると祐介はすかさず「じゃあ、俺の会社に来るのはどう?今、人手が足りなくてさ」と提案した。

里香は笑って、「冗談でしょ?私、そんなスキルないし、失敗したらどうするの?」と軽く返す。

それでも祐介は真剣な表情で彼女を見つめ、「大丈夫だよ。君がミスしても、俺が全部フォローするからさ」と自信満々に言った。

里香は一瞬黙り込み、何か言おうとしたその時、病室のドアがまた開いて、蘭が入ってきた。

「また来たの?」と祐介が驚いて聞いた。

蘭は最初、笑顔だったが、里香を見るなりその笑みが消え、目つきが一気に警戒心を帯びた。急いで歩み寄り、「結婚してるんだから、祐介兄ちゃんに会いに来るのやめて。彼、まだ独身なんだし、誤解されたらどうするの?」と強い口調で言った。

「蘭!」祐介は彼女が突然来たことに驚いたが、すぐに気付いた。誰かが彼女を呼んだんだろうと。その「誰か」は、祐介と里香が一緒にいるのが気に入らない人だ。

蘭は祐介の言葉を無視して、里香に向かい「さっさと帰って。もう来ないでね。祐介兄ちゃんが既婚者と絡んでる姿なんて見たくないの」と言い放った。

里香の瞳にはほんの少し冷ややかな色が浮かび、「あなた、誰?」と静かに尋ねた。

蘭は顎を上げて「北村蘭よ」と答える。

「祐介兄ちゃんとどういう関係?」と里香が続けて聞くと、蘭は一瞬驚いたが、すぐに怒りに変わり、「祐介兄ちゃんとの関係がどうだろうと、あなたには関係ないでしょ!」と声を荒げた。

里香は眉を上げて、「さっき、祐介兄ちゃんは独身って言ってたよね?だったら、私に指図する権利はないんじゃない?」と冷静に返した。

「この......!」

蘭の顔がさらに険しくなる。

それでも里香は続けて、「私は祐介兄ちゃんの友達よ。それに、あなたが彼と親しいのはわかるけど、彼の周りに女性がいるたびにこんな態度取るの、ちょっと失礼だと思わない?」と穏やかに言った。

蘭の顔は真っ赤になり、「私に説教するつもり!?何様なのよ!?」と叫んだ。

里香は冷静に、「別に説教じゃないわ。ただのアドバイスよ」と微笑んだ。

その後、里香
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