第199話

里香は席に戻ると、思わずため息をついた。雅之が何を考えているのか、全く理解できなかった。

雅之は夏実のことを気にかけているんじゃなかったのか？それなのに、どうしてこんなに複雑な状況に巻き込まれているんだろう。

心の中で怒りや悲しみ、さまざまな感情が渦巻き、里香は深い無力感を感じざるを得なかった。

そんな時、かおるから電話がかかってきた。

「里香ちゃん、もう出勤してる？」

かおるの声はどこか疲れた感じだった。

「うん、出勤してるよ。どうしたの？」

里香が尋ねると、かおるはため息混じりに話し始めた。

「もう我慢できない！こんなに神経質な男、初めて見た。月宮が退院したんだけど、私たちの住んでるところが遠すぎるって、引っ越してこいって言うの。無理無理！引っ越したら、まるで羊が虎の口に入るようなもんじゃない？それで、どうなったと思う？」

里香は興味津々で「どうなったの？」と聞いた。

かおるは再びため息をついて、「月宮が午前2時半に電話してきて、出前が食べたいって言うの！そんな時間にどこで出前なんか取れるのよ？本当に爆発寸前だった。手伝いを断ったら、脅してきたの！この神経質な男、ほんとにどうしようもない！」

里香は月宮がそんな人物だとは思っていなかった。少し戸惑いながら、「月宮はどれくらいで回復するの？」と尋ねた。

かおるは「医者によると、1ヶ月くらいかかるって。あまりストレスをかけなければ、もう少し早く回復するかもって言われたけど」と答えた。

里香はしばらく考えてから、「じゃあ、あなたが月宮のところに住んだらどう？」と提案した。

かおるは驚いて、「え？何言ってるの？私を月宮に差し出すつもり？」と答えた。

里香は苦笑し、「ただ、かおるが苦しんでいるのを見たくないだけ。もしかしたら、あなたがそばにいてくれれば、あいつも少しは落ち着くかもしれない」と言った。

かおるはすぐに否定した。「いや、あいつを見るだけで、頭をぶん殴りたくなる！」

里香は諦めたように笑って、「わかった、好きにして」と言った。

かおるは話題を変えて、「でも、復讐する方法はちゃんと考えてあるから、月宮を徹底的に困らせてやるわ！」と宣言した。

里香は少し心配になり、「月宮に何かの弱みを握られないように気をつけてね」と忠告した。

かおるは「大丈夫、この手のことは慣れてるから」と自