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第4話

浅井容子が私を不安げに見つめていたその時、門口から鋭い声が響いた。

「陛下の詔勅」

私は口元に笑みを浮かべました。ついに聖旨が届いたのだった。

宦官は長々と話していましたが、私はほとんど聞いていなかった。要約すると、私と浅井容子は植川家父子と離縁し、持参金はすべて持ち帰るということだった。

宦官が聖旨を告げ終えると、植川政裕は突然立ち上がり、信じられないという顔をしながらよろめいた。

「そんなはずはない。陛下が離縁を命じるなんて......どうして?」

ありえないわけがなかった。私は賀茂家の最後の血脈であり、この時代に軍事的な才能で並ぶ者はいなかった。

今、辺境では戦が迫っており、朝廷には有能な将がいないのだった。

だから私は賀茂家の軍権を持って宮中に入り、陛下に自ら出兵して敵を退けることを申し出た。

そしてその代わりに、陛下から私と浅井容子の離縁の聖旨を求めた。

60歳の女将が戦場に立つのは前例がないが、私は賀茂家の娘であり、目合いの前から数々の戦功を立ててきた。

陛下は最終的に私を信じてくれた。

植川政裕と植川昌文が愕然としているその時、私は白川緒が密かに微笑んでいるのを見た。

当然だった。私が植川政裕と離縁すれば、一番利益を得るのは彼女だった。

しかし、彼女が宝物のようにしている植川政裕は、今の私にとって何の価値もなかった。

植川政裕は呆然とし、口の中でつぶやいた。

「信じられない......儂は宮中に行って陛下に会う」

私は彼を止めなかった。むしろ、彼が自分の愚かさに気づくことを望んでいた。

一方で、植川昌文は何も反応せず、驚いたように目を大きく見開いて私を見つめていた。「陛下が聖旨を下さったか?母上が陛下に聖旨を下させるなんて」

私は彼に返事をせず、浅井容子と一緒に持っていくものを片付け始めた。

植川政裕は宰相だが、家で支配できる財産はあまり多くなかった。

彼ら父子の俸給は限られており、日常の食事や接待の多くは、私と浅井容子の持参金に依存していた。

今、私たちが持参金を持ち去れば、植川家は宰相の肩書だけが残る空っぽの家になるだろう。

しかし、それはもう私には関係のないことだった。

荷物をまとめていると、鏡台の上に白い簪があった。大した価値のないものだが、目合いの前に植川政裕が私に贈ってくれたものだった。

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