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遥香は遥かに離れた
遥香は遥かに離れた
著者: 果々

第1話

意識が徐々に戻ると、父が私の方に歩いて来るのを見た。

私はその場で固まってしまい、どう反応すればいいのか分からなかった。

彼が私の身体を通り抜けると、彼が全く私を見えないことに気づいた。

「晴子、誕生日おめでとう!」

私は彼が笑顔で従姉妹の安森晴子の頭を撫で、精巧に包装されたギフトを渡すのを見た。

「ありがとうございます、林おじさん!」

安森晴子の誕生日は私の誕生日の一週間後だった。

私は突然、自分がもう七日間も死んでいることに気づいた。

彼らは豪華なケーキの前に座り、安森晴子の誕生日を祝っていた。

言葉と笑い声が交わり、なんとも賑やかだった!

私がいなくても、ここは何も変わらないようだった。

子供の頃から、安森晴子の誕生日は常に賑やかだった。

私の誕生日は、誰も言及せず、誰も気に留めることはなかった。

安森晴子が願い事をしようとしていると、横にいるおばさんが不意に聞いた。

「兄さん、遥香はどこ?どうしてずっと出てこないの?」

私の名前を聞いた父は嫌悪感を示し、冷たく言った。

「彼女が晴子を傷つけたから、私は少し罰した。彼女は気まぐれで、どこかに遊びに行ったんだ!」

おばさんはすぐに心配そうな顔を見せた。

「もしかして、彼女を罰しすぎたのでは?遥香はいつも大人しいから、そういうことはないはずだ!」

しかし父は気にも留めずに言った。

「二日閉じ込めただけで、もう誰かに解放させた。私の見立てでは、まだ罰が軽すぎた!」

父の少しの罰は、私の心に一生残るものだった。

その夜、彼は太い棒を持って冷たく私を見つめ、問いただした。

「どうして姉を階段から押した?」

私は恐怖で体が震えていたが、歯を食いしばって言った。

「父さん、私は押してない、彼女が自分で転んだんだ!」

しかし彼は私の足を強く叩いた。

「アー!」

激しい痛みで私は地面にひざまずき、思わず声を上げてしまった。

父は横で不満そうに皮肉を言った。

「今、痛みが分かったか?お前が姉を階段から押した時、彼女も痛むことをどうして分からなかった?」

棒は再び激しく私の身体に降り注いだ。

私は下唇を噛みしめていたが、認めることはできなかった。

彼はますます怒り、叩く力も強まった。

やがて彼がやっと止めた時、私は内臓がしびれるほどの痛みを感じた。

何も言えなかったが、父には逆らっているように見えたのだろう。

だから彼はまた、息も絶え絶えの私を地下室に投げ込んだ。

そこは暗く狭く、私はゴミのように地面に放り出された。

閉所恐怖症の私は震えが止まらなかった。

「父さん......父さん、ここに閉じ込めないで......!」

しかし彼の目には少しの慈悲もなく、冷淡さと嫌悪だけがあった。

彼は私の手を振り払い、高い位置からこう言った。

「林遥香、その汚い思いを捨てる時、お前を出してやる!」

そして彼は情け容赦なく振り返り、唯一の小さな扉を閉めた。

周囲は真っ暗になり、絶望と苦痛の中で私の目もゆっくりと閉じた。

私はどうやって死んだのか、実は分らなかった。

ただ、その時から私の意識は常にぼやけていた。

私は自分の人生が18歳で止まると思っていた。

でも、死んでも霊はここに留まるのだと気づかなかった。

父の顔に明らかな怒りが見え、おばさんも何も言えなかった。

林家の当主である父が怒ると、誰もがそれ以上は言えないんだ。

ただ安森晴子だけは、目を輝かせて彼の手を引っ張り、甘えた。

「林おじさん、怒らないで!怒ると体に良くないよ!」

一瞬、冷たい顔をしていた父は、すぐに優しくなった。

「やはり晴子は分かってるな!もし林遥香が君のようにお利口ならいいのに!」

この言葉は、安森晴子がこの家に来て以来、何度も聞いたことがあった。

安森晴子はいつもとても理解があるように見えた。

これが父が望むお利口さなのだろうか?

しかし、彼はそのお利口さの裏に潜む恐ろしい邪悪を知る由もなかった。

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