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第7話

警察の判決が出た直後、私は広報部に声明を出すよう指示した。

ちょうど、啓介が私のオフィスでくつろいでいて、状況を見るなり自ら名乗り出て、この仕事を引き受けた。

そして、川野製薬の公式声明は次のようになった——

「私、佐藤啓介は、ここに重ねて申し上げます。私には幼なじみも、初恋の人も、不倫相手もおりません。従って、浮気撲滅屋など必要ありません!私の妻は世界一素晴らしい人です。現在子供を作らないのは、キャリア上の理由からです。どうか妻の悪口は控えてください!私に対する誹謗中傷もお控えください!」

ネットユーザーたちの、かつての東大秀才に対する評価は一致していた。

「はいはい、愛妻家なのはわかりました!」

啓介がこの称賛を非常に満足げに受け止め、有頂天になっていたことだ。

私は3日間彼の得意げな様子を黙認した後、研究室に追い返した。

上場が目前に迫っているんだから、さっさと仕事をしろ!

美香と再会したのは、それから12年後のことだった。

その時、私はディズニーランドの入口で、我が家の父子げんかを見守っていた。

「パパ、もう大人なんだから、ママを取り合うのはやめてよ」

「坊主、お前はいずれ自分の嫁さんができるんだから、俺の嫁さんに手を出すな!」

「ママ、パパって子供みたいだね」

「夕子、このガキ、本当にしつけが必要だぞ」

この毎日3回は上演される劇に対して、私にはもう対処法が身についていた。

私は少し離れたアイスクリーム屋を指差して言った。「アイス食べたいな」

途端に、父子ともに私のことは気にも留めず、アイスクリーム屋に向かって全力疾走を始めた。

私はベンチに座って彼らを見つめながら、幸せな笑みを浮かべていた。

そんな時、背中の曲がったおばあさんが息子に近づき、割れたお椀を差し出した。

「坊や、お願い。助けてくれないか」

息子はお父さんそっくりの抜け目なさで、すぐに啓介の腕の中に飛び込んだ。

真面目くさった顔で言う。「ママが言ってたよ。大人が子供に助けを求めるのはおかしいって。僕を海外に売り飛ばす気?」

啓介は普段なら息子と張り合うところだが、危険を感じると即座に息子を抱き上げ、警戒心たっぷりにおばあさんを睨みつけた。

「あなた、何者ですか?何をしようとしているんです?」

啓介はこの数年、外見はほとんど変わらず、髪も薄くなっ
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