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第6話

この事実を知った瞬間、私は雷に打たれたような衝撃を受けた。

依頼人の存在を疑ったことなんて一度もなかったのに、まさかこんな結果になるなんて。

啓介は逆に喜んでいた。私の手を握りしめ、涙目で叫んだ。

「俺の潔白が証明されたぞ!」

私は彼の手を振り払い、顔を真っ赤にした美香を見つめ、震える声で尋ねた。

「美香...なんで?」

なぜこんな茶番劇を仕組んだの?

私を離婚させたかったの?それとも、ライバル企業が川野製薬の発展を妨げようとしたの?

美香は突然顔を上げ、私を睨みつけた。その目には濃い憎しみが渦巻いていた。

「なんでって?よくも聞けたものね!最初に啓介に目をつけたのは私よ!あんたが横取りしなければ、彼と結婚したのは私のはずだった!」

私は愕然として彼女を見つめ、自分の耳を疑った。「何ですって?あなたが啓介を好きだった?」

啓介と私は同級生で、彼は軍事訓練の頃から私にぞっこんだった。美香は東大の学生じゃないし、啓介とは私を通じて知り合ったはずなのに。

この順番からして、おかしいでしょ!

でもすぐに、長年の疑問が一気に氷解した。

なるほど、美香がずっと啓介を快く思ってなかったわけだ。

なるほど、啓介のプロポーズの場で大騒ぎしたわけだ。

つまり...彼女こそが「浮気相手」だったんだ...

理解できた瞬間、気持ちも晴れた。

寂しくないと言えば嘘になる。長年の友人関係がこんな風に終わるなんて、本当に見苦しい。

でも同時に、ほっとした。美香の頭の回転が遅くて良かった。こんな簡単に崩れる手段を選んでくれて。

もし彼女がもっと悪質な策略を練っていたら、私も騙されていたかもしれない。

「あんたは既に沢山のものを持ってるのに!どうして彼まで奪うの?」

美香は発狂したかのように、警官の手を振り切って私に殴りかかってきた。

泣き虫の夫が再び私を背後に庇い、美香の手首を掴んで暴行を止めた。

美香は一瞬たじろぎ、次に啓介に平手打ちを食らわせようとした。

「この浮気者!私を惹きつけておいて、なんで彼女を好きになるの?あんたが好きになるべきは私よ!」

「啓介!憎いわ!あんた...どうして私のことを好きにならないの...」

警官が素早く彼女のもう片方の手首を掴み、啓介の顔に平手が当たるのを防いだ。

啓介は困惑した表情で警官を見て、男らしく言った
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