第 0188 話

石田先生は二人のおかしい雰囲気に鋭く気づいた。「秋音、そちらは…」

呼ばれた瀬川秋辞は振り返って答えようとしたが、後ろからの男が先に答えた。「薄野荊州と申します。妻がお世話になっております。雨だから、迎えに来ました」

言いながら、男は彼女を自分のほうに引っ張った。

「あ、はい、夫です」瀬川秋辞の表情が固まって歯を食いしばって言った。「すみません。この人はちょっと勝手気ままで、気にしないでください」

彼女の話に石田先生が笑って言った。「まあ、謝ることじゃないよ。あなたのことが心配だから、こんなところまで来たね」

店は古い建物ばかりの街にあって、あまり有名じゃないし、位置もそんなにいい場所じゃない