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第0039話

お腹の子が男の子でも女の子でも、どちらの服も着せられるのだ。

瑠璃は服を手に取り、レジに向かおうとした。しかし、振り返ると、目の前に蛍が立っていた。

彼女は一人のようだったが、その不敵な笑みを見て、瑠璃はできるだけ距離を取りたいと思った。しかし、蛍が彼女の行く手を遮った。

「瑠璃、こんな大変なことになっているのに、よく平然と買い物なんかできるわね。警察からはまだ連絡が来てないの?」

蛍の言葉に瑠璃は戸惑った。すると、蛍は続けて話し出した。

「あんた、本当に驚くわ。才能がないのは仕方ないけど、盗作なんてどうしてしたの?今、創優社があなたを訴えようとしてるわよ。会社の評判を傷つけたって。それに、知的財産権の侵害で訴えられてるの。罪が確定したら、牢獄行きね」

瑠璃は一瞬驚いた。蛍が言っている創優社とは、自分がペアリングのデザインを依頼された会社だった。

しかし、それは自分が一から作った作品であり、盗作などしていない。どうしてそんなことがあり得るのだろう。

「蛍、でたらめを言わないで!そんなこと言いふらしたら、私の名誉が傷つくわ」

「瑠璃、強がっても無駄よ。これが初めてじゃないんでしょ?」蛍は同情するような口調で言った。

瑠璃は蛍と争いたくなかった。これまで何度も罠にかけられてきたので、これ以上引っかかりたくなかった。

だが、蛍は瑠璃が立ち去ろうとするのを見て、急いで彼女の手を強く引っ張り、柔らかい声で大きく叫んだ。「瑠璃、私を憎んでるのは分かるけど、お願いだから、私の赤ちゃんを殺さないで!恨みがあるなら私にぶつけて。赤ちゃんは関係ないでしょ!」

またその手だ。

瑠璃は以前、この罠にかかったことがあり、今回は絶対に騙されまいと決意していた。

しかし、蛍の狡猾さは瑠璃の予想を超えていた。彼女は突然、瑠璃の手を強く振り払うと、そのまま重心を崩し、わざと後ろに倒れた。

「きゃあ!」

蛍の悲鳴が響き、母子用品店の店員や客たちが一斉に注目した。

そして、まるでタイミングを計ったかのように、隼人が現れた。彼は地面に倒れ込み、お腹を押さえて苦しんでいる蛍を見るなり、すぐに彼女を抱き上げた。倒れた場所には、すでに鮮血が広がっていた。

蛍は涙を浮かべ、苦しそうに瑠璃に向かって叫んだ。「瑠璃、どうしてそんなに冷酷なの?私の恋人を奪っただけじゃ足りず、今度は私
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