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第6話

柊優しく慰めた。

「バカ、そんなこと言っちゃダメだよ。すべては運命のいたずらさ。安心しな、最高の医者を探して、お前の病気を治すから」

「柊兄さん、あなたがいてくれて本当によかった。莉緒は?どうして来てくれないの?」

柊の顔が一瞬硬くなったが、すぐに元に戻った。

「気にしないで。彼女は罰を逃れるために、どこかから死体を持ってきて自分を偽装しているんだ。今、人を派遣して調べてるところだ。

知らないだろうけど、彼女の占い師の師匠は有名な死体使いだったんだ」

「莉緒がそんなこともできるなんて思わなかったわ」千紗の目には不安の色がちらりと見えた。

「それは昔のことさ!気にしないで、お前を部屋まで送るよ」柊はそう言うとき、目には嫌悪の感情が見えた。

どれだけ柊に説明しても、本当は死体使いなんてできないのに、彼は信じてくれない。

柊は千紗を部屋まで抱きかかえていったが、何かに躓いて、柊の体が千紗の上に落ちた。

千紗の顔は一瞬で赤くなった。

千紗は恥ずかしそうに顔を背け、小さな声で言った。

「柊兄さん、そんなことしないで!」

柊は少し恥ずかしそうに千紗から離れ、耳まで赤くなって、「ほら……ゆっくり休んでな」

交通事故から目覚めたとき、最初に目に飛び込んできたのが柊だった。

当時の柊は天上から降りてきた仙人のように、誰も触れることができない高嶺の花だった。

目を覚ますと、彼の笑顔は太陽のように暖かく、全身が温かい気持ちになった。

「目覚めたか?」彼が尋ねた。

「費用のことは心配しないで。お前の師匠と僕の祖母が解決してくれたから、安心して治療に専念しなさい。

医者は三つの肋骨が折れてるって言ってたよ。しばらくベッドで休む必要がある」

その日、柊は私にたくさん話しかけてくれた。彼にも一目惚れしたと思っていた。

だが、十年後になって初めて知った。彼が最初に私を見たとき、私を千紗だと思っていたんだ。

残酷な真実が明らかになり、私は去る決意を固めていた。

しかし、柊は私を殺そうとした。

納得できなかった!

なぜ彼だけが平穏な生活を送ることができるのか。

私の怒りが風となって窓を全部開けさせ、カーテンがさささと音を立てて揺れた。

二人が抱き合っていた顔色が一変し、柊はすぐに千紗から離れた。

「ご主人様、あの……結果が出ました」医者がドアの前
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