第5話

捜査が行き詰まっていた警察が、ついに我が家を訪れた。

母は不本意ながらも警察を私の部屋に案内した。

「これが、娘さんのお部屋ですか？」と警察官は驚いたように辺りを見回した。

私の部屋は使用人の部屋の隣にあり、最も小さくて質素な部屋だった。使用人の部屋よりも粗末で、居心地の良さとは無縁だった。

母は少しうろたえた様子で「……娘が自分で選んだんです」と言い訳めいたことを言った。

私が大島家に来たばかりの頃、最初はちゃんとした部屋を与えられていた。けれど妹は、私が彼女の部屋に入ってきて本当の家に帰れと脅したと訴えるようになり、父も母も私に教訓が必要だと考えて、

私は使用人の部屋に追いやられたのだった。

「枕の髪の毛をお借りしてもよろしいですか？」警察は尋ね、枕から髪を採取した。

「まだいくつか質問がございますので、お嬢さんもご一緒にお願いできますか？」

警察を見て、悦子は一瞬、表情を曇らせたが、すぐにいつもの冷静な態度に戻った。

警察官が彼女を見つめながら尋ねた。「あなたは玲奈さんと一緒に誘拐されたと聞いていますが、そのときの状況を具体的に教えていただけますか？」

悦子は目を伏せ、少しの間、思い出すような素振りを見せたかと思うと、突然、頭を抱えて苦しそうに呟いた。それを見て母はすぐに彼女を抱き寄せ、「もうやめて、この子を傷つけないで！これ以上聞くなら出て行ってもらいます！」と強い口調で警察に訴えた。

警察たちは顔を見合わせた。若い警察官が眉をひそめ、「もう一人も、あなたの娘さんですよね？心配しないのですか？」と尋ねかけたが、

もう一人の警察官に「片桐さん！」と制され、言葉を飲み込んだ。

母は相手を睨みつけて言った。「そんなことはあなたが心配することではありません。すぐに出て行きなさい！」

警察は仕方なく家を出て行き、母は悦子を慰めながら、階段を上がっていった。

次の日、警察はDNA検査の結果を持って再び我が家を訪れた。

「結果ですが、藤原玲奈さんが被害者であることが確認されました」

母は驚きのあまり、警察を見つめたまま、目を見開いて信じられないといった表情で「ありえないわ！」とつぶやいた。

彼女は戸惑いのあまり、ドアノブを掴んでふらつきながら、「うちの娘は数日後には帰ってくるのよ！どういうつもりなの？あなたたち、一体何を言ってるの！」