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第90話

「玲奈、これから拓海のことで何かあったら、すぐに私に教えてくださいね。特に紗希に関することだね」

「詩織姉さん、安心して。私は絶対に紗希が渡辺家にに留めさせないし、必ずあなたを私の義姉にさせる」

詩織は目に笑みを浮かべた。「玲奈、ありがとう」

「何を言っているの。私達と紗希とは出身が違うわ。彼女には拓海兄さんと結婚する資格がないよ。紗希はスラム出身の孤児で、当初は運がよかっただけだよ」

詩織は口元に得意げな表情を浮かべた。そうよ、身分や地位で言えば、拓海にふさわしい女性は自分なのだ。

数日後、紗希は仕事場の外で再び詩織と出会った。

二人は階下のカフェに行った。

詩織は急に口を開けた。「まだ離婚していないの?」

紗希は詩織の意図を察して、冷静に言った。「この前、食事をした時、彼に離婚のことでメッセージを送ったわ」

「彼は何て言ったの?」

「彼は暇がないと言った」

詩織はそれを聞いて、心が沈んでいった。「紗希、もし嘘をついていたら許さないわよ」

紗希はさっさと携帯を取り出し、拓海との会話記録を開いた。「信じられないなら、ここの証拠を見て」

詩織はそのメッセージを見て、さらに不安になった。

紗希は携帯をしまった。「私を脅しする暇があるなら、直接拓海に会いに行った方がいいよ」

詩織は心の中の不安を抑え、落ち着いた様子で言った。「分かったわ。彼は最近本当に忙しいの。大きな契約の交渉があるから。私は彼に言おうけど、あなたの方で何か問題が起きないようにする!」

紗希は立ち上がって去った。

詩織は先ほど見たLINEの会話を思い出した。もしかして拓海は離婚したくないのだろうか?

あの日レストランで紗希に別の男がいるのを見ても、拓海はまだ許せるのだろうか?

詩織の心に嫌な予感があった。拓海は紗希を好きになっているの?いや、そんなはずはない!

詩織はカフェを出ると、すぐに車で渡辺グループに向かった。この件をすぐに確認しなければならない。

彼女は直接拓海の事務室に行き、焦りながら待っていた。

しばらくして、拓海は会議を終えて事務室に戻ってきた。ソファに座る詩織を見て、「どうしたんだ?」と尋ねた。

詩織は裕太を見て言った。「拓海、話があるの」

裕太は気を利かせて事務室を出て、ドアをきちんと閉めた。

拓海は腕時計を見て、冷たく言った。「1分」

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