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第210話

紗希は学校に行って宿題を提出した後、美咲と一緒に買い物に出かけた。

二人は久しぶりの再会を楽しんでいた。

美咲は喜んで言った。

「紗希、あなたの家が立ち退きになるって聞いたわ。これからは小金持ちになるのね。本当に嬉しいわ!」

「ありがとう。私も立ち退きになるとは思わなかったわ。でも、補償金はそれほど多くないと思うわ」

二人が一緒にショッピングモールに入ると、紗希は先輩の風間から電話を受けた。

「紗希、どこにいるの?オフィスにいないみたいだけど」

「先輩、外で友人と買い物をしているんです」

「そうか。じゃあ、お前の友人も誘って夜一緒に食事でもどう?」

紗希は少し躊躇した。

「先輩、夜は家で食事をしないといけないんです。兄と義姉が大京市からから来たんです」

そう言うと、風間はそれ以上食事の話を続けなかった。

電話を切った後、美咲は興味深そうに聞いた。

「先輩が食事に誘ってくれたのに、どうして行かないの?私は邪魔しないわよ」

「美咲、私が一度結婚していたことを知っているでしょう。先輩は離婚した女性を受け入れないと思うわ」

しかも、今は元夫の子供を妊娠している。

こんな女性を受け入れられる男性はいないだろう。

「紗希、あなたは正直すぎるわ。先輩は良い人だし、起業家として将来性もあるわ。だから紗希は真剣に考えてみたらいいな。さあ、新しくオープンした有名なネイルサロンに行きましょう」

「美咲、私はネイルはしないわ。最近、匂いに敏感なの」

妊娠中の彼女にはネイルは適していなかった。

二人がネイルサロンに座ってしばらくすると、近くから強い香水の匂いがしてきた。

まるで燻製肉のような匂いだった。

紗希は鼻を押さえて振り返ると、見覚えのある姿が目に入った。

こんな香水の付け方をする変わり者はそう多くないとわかっていた。

だが、まさかここで玲奈に会うとは思わなかった!

玲奈はハイヒールで歩いてきて、高慢な態度で話し始めた。

「紗希、ここでネイルをするのにいくらかかるか知ってる?お金を払えないなら、こういうところを楽しむべきじゃないわ。あなたには似合わないわ」

気の短い美咲は即座に反撃した。

「目先の利益しか見えない人間だけが、ネイルをするだけで高貴だと思うのよ。そうね、あなたのように香水をたくさんつけているような成り上がり者でないと
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