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第487話

ボディーガード「それなら、当時の医者を探し出して、聞けばいい!」

院長「その医者の名前、覚えているのか?」

ボディーガード「どうして俺が知っているんだ!あの時、彼女は帽子とマスクをしていたんだ。顔さえ見えなかったんだから!」

院長「じゃあ、後で産婦人科の全医師に一人ずつ聞いてみるよ。誰かとわこさんのことを覚えているかもしれない」

奏は大股でその場を離れた。

彼の心は既に答えを得ていた。

とわこは当時、中絶していなかったのだ。

蓮は、彼の息子に違いない。

しかし、真実を知ったところで何になるというのか?

彼は蓮を傷つけた。蓮は彼を許すことなどできないだろう。

とわこは最初から今に至るまで、子供のことを彼に告げるつもりなどなかったのだ。だから彼を庇ってくれるはずもない。

彼はとわこを責めることはない。すべては彼自身のせいだ。

5年前、彼はこう言った。「もし彼女が子供を産んだら、俺はその子を自分の手で締め殺す」

そして5年後、彼は本当にその子を殺しかけた。

彼の目は真っ赤に染まり、涙がこみ上げていた。

車に乗り込むと、彼はアクセルを一気に踏み込み、車を疾走させた。

やがて彼は館山エリアの別荘に到着し、車を停めた。

車を降り、とわこの家の前に立つ。

赤いBMWが彼の視線を引いた。

これは瞳の車のようだ。

彼はインターホンを押した。

しばらくして、瞳がレラの手を引いて姿を現した。

「とわこに会いに来たの?とわこは今家にいないよ」瞳は門の内側に立ち、奏に話しかけた。

奏の視線はレラの小さな顔に止まった。

「レラは学校に行かなかったのか?」彼の声はかすれていた。

レラはすぐに瞳の後ろに隠れ、怯えた様子で彼をちらりと見た。

「レラは今日は具合が悪いから、学校はお休みしているの」瞳は奏の様子がおかしいことに気づいた。

彼の表情が変だし、声もいつもと違う……

まるで別人のような感じがする。

でも明らかに、彼の顔はいつも見慣れた顔のままだ。

瞳の心に不安が生じた。彼に近づいてみたくなるが、同時に近づくのが怖くなる。

「奏、何か用があるの?」

「彼女は仕事に行ったのか?」彼は答えずに問い返した。

瞳は少し近づいて、彼
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