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第358話

夫人の表情は険しくなった。「血縁関係がなければ、あんなに似るはずがない。あの子は間違いなく私の孫だ!奏が幼い頃もあんな風だった。誰を見ても冷ややかな目で、その眼差しがあまりにも似ている!」

使用人は「でも、奏様はあの子の出自について疑っている様子はありませんよ」と言った。

夫人は「奏が自分のことをどれほど覚えているかなんて、私にはわからない。彼はもう自分の幼い頃の姿を忘れているかもしれないわ」と言った。

使用人は「それもそうですね。では、どうなさるおつもりですか?」と聞いた。

夫人の目には鋭い光が宿った。「あの子と奏が本当に親子関係にあるかどうか、何としてでも確認するつもりよ。DNA鑑定をすればわかるわ」

「うーん……でも、DNA鑑定にはあの子の血液か髪の毛が必要ですね……」

「何としてでも手に入れてみせるわ」夫人は自信満々に言った。「調べがついたら、奏に話すわ」

病院。

はるかはスマートフォンを持ち、ニュースを見ながら暇を潰していた。

死産の後も、病院で二日ほど入院して経過を観察しなければならない。

今朝、奏が彼女を見舞いに来たが、病室にいたのはわずか十分だった。電話がかかってきたため、すぐに立ち去ったのだ。

今、彼女の腹には常盤家の後継がいなくなったため、夫人も彼女に対して以前ほど関心を持たなくなった。

彼女は少し悲しみを感じたが、奏から振り込まれた200億円を見ると、その悲しみも和らいだ。

お金では全てを買えないが、お金は人を幸せにすることができる。

彼女は奏からこれほどの報酬を受け取ったからには、結菜の治療を続けるのが当然だと考えた。

もし結菜の病がさらに良くなれば、奏はきっと彼女に報いるだろう。

今のところ、奏はまだ彼女を必要としているし、彼女もまたこの200億円だけで満足するつもりはなかった。

突然、メッセージが届いた。

彼女は何気なくそれを開くと、突然ビデオが表示された。

彼女の目は驚きで見開かれた!

ビデオの中の人……見覚えがある!

待って、これって……自分じゃない?

この男……常盤弥だ!

彼女は息を飲んだ。このビデオは、かつて彼女と弥がホテルで過ごした混乱の一夜のものだった!

当時、ホテルの部屋中を探してもカメラは見つからなかったのに……このビデオには、ベッドで起こったすべてが鮮明に記録されてい
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