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第237話

最初から中身がこれだけだとわかっていれば、レラは絶対に苦労してまでこの箱を持ち帰ることはなかっただろう。

ただ、今となっては、こっそり戻すのも難しい。

よほどのことがない限り、もう二度とあのクズパパの家には行かないだろう。

仕方がない!とりあえず、この箱をベッドの下に置いておこう!

ただのディスクと紙切れ一枚だから、大したものではないはずだ。

蓮がパソコンを返して部屋に戻ると、レラはぐっすりと眠っていた。

一方、別の部屋ではとわこが眠れずにいた。

昼間に寝過ぎたせいか、今は目が冴えてしまっている。

人は目が冴えていると、何かすることがなければ、つい色々と考え込んでしまうものだ。

例えば今、彼女は狂ったように常盤奏のことを考えていた。

頭の中には彼の整った顔立ちが浮かび、呼吸のたびに彼の香りを感じた。

彼の肌の触感や温度さえも覚えている。

昨夜、もし彼がいなかったら、今頃自分は死んでいるか、集中治療室にいるかはずだった。

言いたいことはたくさんあるが、言えない。

彼はもう彼女の夫ではない。

彼の心には結菜がいて、彼のそばには小林はるかがいる。

彼女はただの元妻に過ぎない。

二人の関係は、もう元には戻らない。

熱い涙が目の端から流れ落ちる。

彼女は目をぎゅっと閉じ、無理やり考えないようにした。

人生とは、本来、完璧にはならないものだ。

今の彼女には蓮がいて、レラがいて、そして仕事もある。

それだけで、この世の99%の人よりは幸せである。

彼女は、これ以上欲張るべきではない。

三日後。

小林はるかは、自分の生理が一週間も遅れていることに気がついた。

普段は定期的なので、彼女は不安になった。

彼女は朝早く薬局へ行き、妊娠検査薬を買った。

家には帰らず、近くの公共トイレを探した。

15分後、顔が青ざめた彼女は、壁に寄りかかりながら出てきた。

彼女は妊娠していた!

まさか妊娠してしまったのだ!

あの夜、ホテルで常盤弥と一夜を過ごした結果、一度で妊娠してしまった!

彼女は唇を強く噛み、体が止まらず震えていた。

どうして神様はこんなに彼女を弄ぶのか?

彼女が目指しているのは常盤奏の妻になることで、常盤弥の妻になることではないのに!

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