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第91話

さくらはこれらの話を聞いて眉をひそめた。

彼女は噂そのものには全く気にしていなかったが、軍中で意図的に対立を生み出し、不公平感を煽り、軍の士気を乱すことは、決戦前の大禁忌だった。

琴音は戦場を経験しているはずだ。どうしてこのことを知らないのだろうか?おそらく世論を利用して北冥親王を圧迫し、さくらを閑職に追いやることで軍の士気を安定させようとしているのだろう。

「今のところ、援軍の間だけで広まっているんですね?」さくらは尋ねた。

紫乃はまだ怒りが収まらず、顔を真っ赤にして激昂していた。その表情は今にも爆発しそうなほどだった。「そうよ。援軍は駐屯地に住んでいて、元々の北冥軍とは別れているから。北冥軍は知らないわ。知ったら必ず誰かが文句を言いに行くはずよ」

さくらの眉間にさらに深いしわが寄った。幾度もの戦いを経て、彼女を敬服する兵士は多い。もし彼らがこのような噂を聞いたら、文句を言うどころか、喧嘩になる可能性もある。

そうなれば、軍の士気は完全に乱れ、団結力など望めなくなる。

どうやって戦えばいいのか?邪馬台を羅刹国に両手で差し出すようなものだ。

饅頭が言った。「奴らはもう扇動して、援軍の武将数人に元帥に会いに行くよう仕向けてるぜ」

さくらは少し考えてから言った。「先に行かせておこう。元帥ならあの人たちを抑えられるはずよ。平安京と羅刹国との戦いはいつ始まるかわからないし、元帥はこの時期に軍の士気が乱れることを絶対に許さないはずだから」

「じゃあ、私たちは何もしないの?」紫乃は不満そうな顔をした。「せめて葉月琴音を殴って鬱憤晴らしくらいさせてよ」

沢村お嬢様は少しの屈辱も耐えられない性格だった。自分の身分でありながら、さくらの侍女と言われたことを思い出すだけで腹が立った。

さくらは目を上げずに言った。「行きたければ行けばいいわ。でも琴音の軍職はあなたより上よ。軍中で将軍を殴れば、百回の鞭打ちだわ。お尻に花を咲かせたくなければやめておきなさい」

紫乃は鼻を鳴らした。「軍籍に入って百戸になんかならなければ、将軍だろうが何だろうがお構いなしに殴ってやるのに。言っておくけど、邪馬台を取り戻したら、もう兵士なんかやめるわ。どんな将軍職をくれても興味ないわ」

これもダメ、あれもダメ。うんざりだわ。

夜になると、案の定、葉月琴音の従兄の葉月振一が大勢を率いて
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