共有

第404話

恵子皇太妃の言葉に、その場にいた人々は淡嶋親王妃に軽蔑の眼差しを向けた。

淡嶋親王妃は心の中で悔しさと恥ずかしさを感じていた。さくらに助け舟を出してほしいと思い、彼女を見たが、さくらの表情は冷淡で、目には何の感情も読み取れなかった。諦めざるを得なかったが、心の中では恨みを抱いた。実の叔母なのに助けてくれない、母親への義理も立てないのかと。

しばらく話が続いた後、大長公主が戻ってきた。皆が挨拶を交わし、再び席に着いた。

さくらは、まるで二人の間に確執など全くなかったかのように、彼女にも礼を尽くした。

大長公主はさくらよりもさらに巧みに装っており、わざとさくらに温かい眼差しを向けた。

太后が榮乃皇太妃のことを尋ねると、大長公主は答えた。「母上の体調は少し良くなりましたが、今夜の宴には参加しません。寒い夜なので、風邪をひいて症状が悪化するのを避けたいそうです」

「そう、後で御典医に特別な注意を払うよう言っておくわ。あまり心配しないでね」と太后は言った。

「ありがとうございます、お義姉様」大長公主は答えた。

そろそろ宴の時間になり、宮人が案内に来た。皆は順番に立ち上がり、太后を囲んで長和殿へと向かった。

天皇と皇后は人前では仲睦まじい様子を見せていた。皆が天皇の今の寵姫が定子妃だと知っていても、この夜、定子妃は天皇夫妻の仲睦まじい様子を眺めるしかなかった。

そのため、定子妃は天皇の視線が北冥親王夫婦に向けられるのをしばしば目にした。

彼らは確かに仲が良かった。隣り合って座り、給仕が料理を運んでくると、北冥親王は妻のために料理を選び、妻の好まないものは自分の皿に移していた。

定子妃は、天皇が北冥親王夫婦を見る目つきが特に複雑であることに気づいた。しかし、すぐに普段の表情に戻った。

定子妃は以前聞いた噂を思い出した。天皇が上原さくらを宮中に迎え入れ、妃にしようとしていたという話だ。

定子妃のさくらへの視線には、骨身に染みる冷たい嫉妬が混じっていた。しかし幸いなことに、さくらはすでに北冥親王妃となっている。天皇は仁徳の君主だ。たとえさくらの美貌を気に掛けていても、弟の妻を奪うようなことはしないだろう。

そう言えば、あの再婚した女の容姿は本当に目を見張るものがある。女である自分でさえ、一度目を向けると目を離すのが難しいほどだ。自分がこうなのだから、男た
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status