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第406話

賑やかな宴は夜通し続き、子の刻を過ぎてようやく皆それぞれの部屋に戻っていった。

潤はとっくに眠たくなっていたが、頑張って起きていた。棒太郎が彼を抱いて部屋まで連れて行った。

玄武はさくらを抱きしめていた。布団の中は暖かく、彼女の心もこうして温めることができればと願った。

何か話すかと思っていたが、さくらは何も言わなかった。ただ静かに彼の腕の中で横たわり、規則正しい呼吸を繰り返していた。眠っているのかどうかも分からなかった。

さくらは当然眠れていなかった。眠れないし、動きたくもなければ話したくもなかった。

ある種の出来事は、ただ耐え忍ぶしかない。歯を食いしばって耐え抜けば、時が流れ、埃が積もり、すべての痛みを封じ込めてくれるはずだ。

これが彼女のいつもの対処法だった。

しかし、以前よりも良くなったのは、今では彼女を心から大切に思ってくれる人がいることだった。

玄武も心に痛みを感じていたが、それ以上にさくらを心配していた。

彼女は嬉しい時には彼に笑顔を向けるが、悲しい時には決して彼の前で涙を見せない。

いつも暗く悲しい面は隠し、彼に見せるのは冷静さと笑顔ばかりだった。

さくらは一度も彼への愛を口にしたことがなかった。ただ一度、潤に向かって言ったことがあるだけだ。しかし彼には、それが潤をごまかすためだったことがわかっていた。

ただ、その時の自分はそれを真に受けてしまった。もちろん、それは自分を騙していたのだ。

心の中では皇兄を恨んでいた。邪馬台の戦地から戻って来て、さくらとの仲を深めてから正式に求婚するつもりだった。しかし皇兄の一言で、彼とさくらの結婚は急遽決まってしまったのだ。

しかし、さくらが彼に求婚の意思があったことを知っているのは良かった。少なくとも、彼が真心を持って接していることを彼女に伝えられたのだから。

さくらはようやく夜明け頃に眠りについた。恵子皇太妃が宮中にいるため、早朝の挨拶に行く必要はなかった。

しかし、しばらくすると鐘の音で目が覚めた。しばらくぼんやりとしていたが、結局起き上がって着替えることにした。

お珠が髪を整えに来て言った。「親王様は早朝から正院でお客様の応対をされています。何人かの役人が挨拶に来られたそうです」

「奥様方は同伴されていますか?」さくらは尋ねた。親王家の女主人として、夫人たちが来ていれば応対
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