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第151話

さくらとお珠は皇后が座るのを待ってから前に進み、跪いて礼をした。「上原さくらと侍女のお珠が、皇后様にお目通りいたします」

皇后の穏やかな声が頭上から聞こえた。「上原さん、そんなに堅苦しくなさらないで。お立ちなさい」

「ありがとうございます」さくらとお珠は立ち上がったが、依然として立ったままだった。

皇后の目がさくらを観察した。以前この上原家の娘に一度会ったことがあり、その美しさに心を打たれた。

今回、戦場から戻ってきて肌の色は以前ほど白くはなかったが、一目見ても、じっくり見ても、どんな目にも耐えうる、まさに比類なき美人だった。

天皇がさくらに宮中入りの意思を確認するよう言ったことを思い出し、皇后の心には酸っぱい思いが湧き上がった。さくらのような才能と美貌を兼ね備えた女性が一度宮中に入れば、きっと寵愛を独占するだろう。身分や地位は自分この皇后を越えることはないだろうが、天皇の心を掴んでしまえば、自分にはどうすることもできない。

しかし、皇后はいつも品位と賢明さを保ち、後宮の主としてわずかな嫉妬の色も見せることはできなかった。

そのため、ただ笑顔でさくらを数言褒め、邪馬台での貢献を認めた後、意味深長に言った。「北條将軍はあなたの良さを分からなかったのね。まるで宝石に泥を塗るようなものだわ」

この言葉は遠回しではなく、さくらが一度結婚したため、処女ほど貴重ではないということを示唆していた。

さくらにはその意味が分かったが、まったく理解できなかった。皇后が自分にこんなことを言う理由が分からなかったのだ。

皇后はお茶を一口すすり、金色の爪飾りを茶碗の縁に軽く触れさせた。決心したかのように、目を上げてさくらを見つめ、尋ねた。「でも、宝石は宝石のまま。ほこりは一拭きで消えるもの。上原さん、自分を過小評価する必要はありませんよ。宝石の輝きを見出す人は必ずいるものです」

さくらはこの言葉の意味を理解した。縁談を持ちかけられているのだと。

心中では不快に感じたが、表情には出さず、わずかに微笑んで答えた。「お気遣いありがとうございます。過去のことは過ぎ去りました。私は後ろを振り返る習慣はありません。人は前を向いて生きるべきです。皇后様が私を宝石にたとえてくださるのは過分なお言葉です。私は幼い頃から梅月山で武術を学び、自由な性格に慣れています。京都に戻って2年経ちま
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