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第15話

(花綺桜子の視点)

だから、龍治は人の罪をかぶろうとしているのか。

カップの中のコーヒーは入れ替わる。

龍治は耀司のかわりに罪をかぶろうとしているのか?

理由は何だろう?

最高の友達だから?

警察署で会ったとき、耀司は彼を恐れていた。なんで罪をかぶるのか?

思わず愚痴をもらした。「甘絵、お前なら友達のために罪をかぶるかい?」

「もちろんしないよ。だって私は警察官なんだぞ。義理堅いってのはどういう意味か知ってる。もし彼女が犯罪をしたら、私が最初に捕まえるさ」

甘絵の一本筋が通った様子に笑ってしまった。気分は少し楽になった。

ここ数日、大学に何度も訪れている。事務所の同僚がバスケットボールの試合を見に行くと言っていたので、ちょうど資料を調べに行くことにした。

体育館に入ると、ちらりと見た視界の隅に見覚えのある姿があった。

ユニフォームを着た男の子が、目の前にいる人に話しかけている。まるで甘えているかのようで、向かいの男の子は優しそうに彼の頭を撫でていた。

好奇心から、彼らの顔を確認した。

智博と耀司だった。

ふと思い出した。「耀司兄ちゃん、荷物はここに置いておくね。バスケがあるから、先に帰るよ」

コンビニでのあの聞き覚えのある声は智博だった。

次の瞬間、智博は身を乗り出して、他人からはキスをするように見えた。

しかし耀司は一歩下がって彼を軽く叩き、「しっかりプレーして。見てるからな」と笑って言った。

彼らの関係はいったいなんなんだろう。

智博は自分の兄が拘留されていることなど気にしていないようだ。まるで何事もなかったかのように振る舞っている。

以前、智博について調査したが、彼と紗奈はただのセフレ関係で、他の疑問点はなかった。

試合が終わると、智博は私に対してあまり好意的ではなかった。

「警官、僕はもう全部話したじゃないか。なんで毎日来るんだ?」

私は彼が持っていたジャケットを一瞥し、何も言わなかった。

耀司は私に微笑みながら頷いた。

「一つ確認したいことがあるんだが、協力してくれないか?」

私は顔を上げた。「耀司、君の高校時代の話を聞かせてもらえるか?」

彼の表情が一瞬揺らぎ、落ち着かない様子で首を振った。

その後、運命を受け入れるように正直に話した。「花綺警官、調べて分かったと思うが、僕は記憶喪失症で、高校時代
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