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第8話

高柳瑠衣は最終的に懲役十五年の刑を言い渡された。減刑を狙って、彼女は哀れっぽい表情を浮かべて毎日看守に媚びを売った。

しかし、同じ部屋の囚人たちは江口丞ほどの寛容さはなかった。彼女の芝居がかった態度に辟易した囚人たちは、何度も彼女を地面に押さえつけて侮辱し、殴りつけた。

そのうち、高柳瑠衣の目にはますます憎しみが滲んでいった。

ある夜更け、彼女は囚人連中のベッドに飛びかかり、その口と鼻を必死に押さえつけた。しかし力の差で返り討ちに遭い、ベッドの板に頭をぶつけて息絶えた。

一方、江口丞は事故の責任を問われて船長資格を剥奪された。会社は一度、彼の才能を惜しんで解雇を避けたが、彼が補助として操舵室に入るたびに、執拗にスマホの赤い点を見つめて船を深海に向けて進ませるため、やむなく雑務に回すこととなった。

かつて意気揚々と指揮を執っていた船長は、今では全身が汚れた清掃員に成り果てた。

江口丞は毎日甲板を何度も何度も拭き続け、まるで必死にすべての記憶を消し去ろうとしているかのようだった。

だが、夜が更け人けがなくなると、彼は擦り切れて形が崩れた検査結果を取り出し、泣き崩れて私の名前を呼んだ。

でも私は、魂として、海面へと浮かび、魚たちと戯れることにした。

その後も、江口丞は仕事の合間に観光客を見つけると駆け寄り、サメの写真を一人ひとりに見せながら「このサメを見たことがありませんか?」と尋ね回った。

最初は人々も親切に応じていたが、やがて彼を狂人扱いするようになり、遠くから避けられるようになった。

「あの男、彼女が海に落ちて亡くなってから狂ってしまったらしい」

「哀れなもんだな......」

周囲の噂など気にもせず、江口丞はあのサメを見つけ出すためにひたすら探し続けた。

苦情も増え、会社は日に日に虚ろな彼の姿を見てついに見放し、彼を船から追い出した。

それでも諦めない江口丞は、漁師たちに深海へ連れて行ってくれるよう懇願した。

「俺はどうしても愛する人を見つけなきゃならないんです。お願いです、助けてください!」と、地面に頭を打ちつけて懇願する彼に、漁師たちは顔を見合わせた。

「お兄さん、深海は危険だよ」

「あの海域にはサメが群れをなしている。行ったら帰れないかもしれないぞ」

「若いの、もう諦めたほうがいい」

それでも江口丞の目は狂気を孕み、血
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