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第6話

私は悲しそうに目を閉じた。本当は江口丞には知られたくなかったのに。

私は自分の平らなお腹に手を当て、流れていった小さな命に謝った。全部お母さんが間違った人を愛したせいだよ。そうすれば、この世界に一度でも顔を見せてくれたかもしれないのに。

私は江口丞が気にしないと思っていたけれど、彼は狂ったように病院を飛び出し、車を猛スピードで走らせ、信号を無視して帰宅した。そして慌ててベッドサイドの小さな引き出しに駆け寄った。

いつも航海が終わるたびに、私はそこで彼のためにプレゼントを準備していた。

時には「交通安全」と刺さられた御守、時には彼が見逃した秋の紅葉だった。

江口丞は震える手で引き出しを開け、今回のプレゼントは――きちんと折りたたまれた超音波検査の検査結果と、一つの輝くダイヤモンドリングだ。

そのダイヤのデザインは特別で、私たちが初めてデートした時に、私はカウンターの前でずっと見ていたものだ。

そして検査結果の写真には、小さな胎児が丸まっていて、小さなピーナッツのようだった。

江口丞はその上に涙を落とし、私が書いた文字が滲んだ。

「私たちの小さな船長に期待している」

彼は検査結果を握りしめ、痛みに顔を歪めて息を呑んだ。

私たちは三年間一緒に過ごしてきたが、彼は本当に忙しかった。

帆を上げて航海に出ること、海を征服することに忙しくて。

プロポーズもせず、私の体調の変化にも気づかないほどに忙しかった。

江口丞は嗚咽しながら自分に何度も平手打ちをし、震える手で指輪を無理やり無名指に付けようとした。

だが、どうやら私のサイズは小さすぎて、手指が真っ赤になるまで試みても、指輪は嵌められなかった。

私はふとその場に漂うような気持ちになり、運命はずっと私に伝えようとしていたのだと気づいた。江口丞はその「運命の人」ではないのだと。

でも、指輪を握りしめた江口丞は目を真っ赤にして、震える唇で言った。「どうして嵌まらないんだ......朝陽を嫁にできるのは俺だけだ!」

彼は顔を下げ、無理やり指から肉を引き裂き、その指に指輪をしっかりと嵌めた。

血が床に撒き散らされ、私は力なく頭を振った。

私たちの関係は、この不適合な指輪のようなものだった。無理に合わせても、残るのはただの痛みだけ。

江口丞は何度も何度も指輪を撫で、狂ったように副船長に電話をかけ続け
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