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第3話

私は今寒さを感じないが、それでも身体が冷え切っていると感じた。

私は、古澤が私をこんなにも憎んでいるとは思罠かった。もし彼が私の死体を見たとしても、彼は満足感を味わうだけだろう。

私はまるで浮遊する魂のように古澤の後をついていき、彼とともに書斎に入った。

しかし、古澤はパソコンを開いてすぐに仕事を始めることなく、しばらくパソコンデスクの前で沈思し、一本の電話をかけた。

「森の中に補給品を空輸するよう手配してくれ。あいつが自分の愚かさで餓死でもしたら、それを俺のせいにされるのはごめんだからな」

思わず笑い声を漏らしそうになった。古澤がついに私に少しでも憐れみの心を抱いたのかと思ったら、ただ責任を負うのが嫌なだけだったのだ。

この件がもう片付いたと、古澤の眉が明らかに少し緩んだ。

突然、書斎のドアが押され、ゆうりがドアの前に立っていた。

「裕二」

她の声はやわらかかった。「今帰ってきても綾を見かけなかったけど、どうしたのかしら?」

古澤は頭を振って、問題ないことを示した。「あの女がお前の治療を遅らせるなんて、許せなかった。俺はただ少し教訓を与えただけだ。安心して、しばらくしたら戻ってくるよ」

「それならよかった、やっぱり彼女のことが少し心配だったんだ」

「ゆうり、お前は心が優しすぎるから、桜井綾という女がそんなに悪質になる原因になってしまったのよ」

古澤はゆうりを抱き寄せ、静かに慰めた。

……

ゆうりの病が回復したのは、祝うべき大きな喜びの出来事だ。

古澤はすぐに自分のコレクションの一部をオークションに出すことを決め、残りのお金はすべて寄付することにした。

当然、名を聞きつけて多くの人がやって来た。

慈善ディナーの会場で、ゆうりは黒い魚尾型のロングドレスを身にまとい、同じく黒いスーツを着た古澤と腕を組んでいた。二人はとてもお似合いで、まるで完璧なカップルのように見えた。

しかし、誰もが古澤の妻である私を知っていたため、一瞬みんな驚き、互いに顔を見合わせた。

しかし、誰もが賢明にも口をつぐんでいた。

人混みの中で、私は両親を見つけた。二人とも正礼服を着て、喜びに満ちた表情で来賓からの祝福を受けていた。

見る限り、すでに深山の奥にいる私には全く関心がないようだった。

ゆうりが帰ってきてから、私に本来与えられるはずだった愛情はすべて彼女に向けられるようになった。

私は彼らを恨んではいなかった。結局、私は確かに長年桜井家のお嬢さんという肩書きを使ってきたのだから、ゆうりに譲るのも当然だと思った。

彼らが私に関心を持たなくなっても、私は少し寂しく感じるだけで、決して争おうとはしなかった。

でも、私が思っていた以上に、彼らの私への無関心はここまで来ているなんて、全く問いかけすらしないなんて。

両親が前に出て、古澤と二人で話をした。母は古澤の手を引いて、涙を浮かべながら言った。「裕二くん、うちのゆうりをちゃんとお世話してあげてね、彼女はいっぱい苦労してきたから!」

なんて滑稽なんだろう、内情を知らない人が見たら、まるで娘を嫁に出す場面だと思うかもしれない。

古澤は頷いて、なんとその頼みを受け入れた。

「おじさん、おばさん、ご安心ください。俺はゆうりの面倒をしっかり見ます。それに、綾には少し教訓を与えた後、俺は彼女を解放します」

両親の顔に意味が分からない感情が一瞬浮かび、ためらいながら口を開いた。「裕二くん、ずっと言わなければならなかったことがあるんだ。実は綾にはずっと好きな人がいたんだけど、その相手はあなたじゃないんだ」

私は隣で呆然と立っていた。彼らはなぜそんなことを言うのだろうか?

彼らは私が大学で古澤に一目惚れしたことを明確に知っているのに、どうやって他の人を好きになったりするのだろうか?

「君がゆうりの治療に行っていたこの一年間、綾はあの人と何度もデートに出かけていた。私たち親としては君を騙すことはしたくないから、真実を話さなければならないと思った」

古澤は拳を固く握りしめ、目を真っ赤にして私の両親を見つめながら聞いた。「綾が浮気したって今言ったんですか?」

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