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第2話

古澤は信じられないような表情で庭の中を見つめた。ゆうりは小さな体で静かにそこに立っていた。

あの可愛らしい顔には、以前の半分の病弱さはどこにも見当たらず、むしろ赤くて健康的な輝きがあふれていた。

「ゆうり、やっと気持ちが落ち着いて戻ってきたのか?お前がどんな病気を持っていても、俺、古澤裕二は全力で治してやる。もう、どこにも行かないでくれ」

私は古澤があんなにも優しく、甘える様子を見たことがなかった。まるで彼が最も大切に思う宝物を見るかのようだった。

そして彼が私を見つめる時、彼の目には冷徹さと冷たさだけが浮かんでいた。

もし私を愛していないのであれば、なぜ最初に私を妻に迎えたのだろうか?

なぜ私を、この霧に包まれた結婚に巻き込んだのか。

ゆうりは古澤の胸に身を寄せて言った。「裕二、実は私の病気はもう治ったんだ」

ゆうりは彼女の海外での奇遇を古澤に話した。

実は彼女が海外に行った後、絶望的な気持ちになり、死を決意したのだ。

しかし、そこで出会ったのは地元の神医で、数種類の薬を飲んだだけで、彼女を長年苦しめていた腎病が完全に治った。

愛する人を失って再び手に入れた心情に、古澤はゆうりを疑うことなく強く抱きしめ、囁いた。「治ってよかった。これからは誰にも俺たちを引き離させない」

なんて目の保養になる光景だろう。まるでぴったりの夫婦のように見える。

私はただ見ているだけで、心臓が締め付けられるような感覚に襲われ、息ができなくなりそうだった。

皆が幸せな結末を迎える中、私だけが野外で惨たらしく命を落とした。

私は泣きながら古澤に問いただしたが、私たちはすでに生死の隔てを越えていたため、誰にも聞こえることはなかった。

私は古澤が私の方を奇妙に一瞥したのを見逃したようだ。何かを感じ取ったような気配があった。

古澤はゆうりを抱えて私たちの寝室に入り、優しく彼女に毛布をかけて言った。「ゆうり、病気が治ったばかりだから、ここでゆっくり静養して」

しかし、暗闇を全く恐れなかったゆうりが、古澤の手を握りしめ、甘えるような声で言った。「裕二、怖いよ、少しだけでも一緒にいてくれない?」

私はゆうりが暗闇を恐れないことを知っている。むしろ私のほうが孤児院の小さな暗い部屋で虐待を受けたことがあったため、灯りを消して眠ることはできなかった。

でも、私が古澤にこう言うたび、彼はいつも眉をひそめて「気取ってる」と言う。

彼女のためにここに残らないで、古澤。

あなたが残した言葉で、私は本当にあなたが以前一度も私を愛していなかったことを知った。

しかし、古澤は何も言わず、ただ甘やかすように笑って言った。「お前はな」

その後、彼はなんと布団をめくって、そのまま何の躊躇もなく横になった。

ただ私だけが馬鹿みたいに立ち尽くしていた。私は本当に愚かだった、まさか自分とゆうりを比べようなんて。

私はとっくに自分を知るべきだった。

ゆうりは古澤を嬉しそうに見つめ、指を彼の顔をなぞるように滑らせ、何かを暗示しているようだった。

古澤は彼女の手を掴んだ。「お前の病気は治りかけたから、もう騒ぐな」

二人が眠りにつくと共に、私の意識も次第にぼやけていく。まあ、私はもう幽霊だから、眠る必要もないし、疲れることもない。

意識が戻った時、私はすでに古澤によって階下に連れて行かれていた。

森の入口を守っている警備チームが状況を報告している。

「古澤さん、奥さんはもう二日間何の動きもありませんでした。私たちは何かあったのではないかと心配していますが、奥さんを探しに入りますか?」

さっきまでゆうりの額におやすみのキスを落としていた男は、今や冷厳な表情で憎悪に満ちている。「あいつを探してどうすんだ?またあいつの姉を怒らせて病気にさせるつもりか?」

「しかし、奥さんは何かあったりしないでしょうか?」

「何かって?腹が減ったら自分で木の実でも探して食べればいいし、喉が渇いたら露を飲めばいい。夜に危険があれば木に登って寝ればいい。そこでよく反省させてやらんと、いつも嘘ばかりでうんざりするんだ」

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