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第6話

激痛のあと、真雪の目の前は真っ赤になり、耳元には誠智の叫び声が聞こえてきた。

彼女は痛みに耐えきれず、意識を失ってしまった。

次に目が覚めたとき、彼女は病院にいた。

彼女は何かを思い出し、突然起き上がって叫んだ。

「スマホ!私のスマホ!」

誠智はおらず、そこにいたのは彼の助手だった。

彼は新しいスマホを差し出して、「あなたのスマホは壊れてしまいました。誠智はあなたに静養するように言っていました」と言った。

「佑斗もすでに警察に通報しましたので、この件には関わらないでください」

真雪は小声でつぶやいた。

「晴子はそんなことをする人じゃない!」

助手は冷ややかに目を細めて言った。

「この件は中野家の人間はみな知っています。あなたは余計な口出しをしないで、誠智に悪影響を与えないようにしてください」

真雪は彼をじっと見つめながら、拳を握りしめた。

「出て行って。一人にして」

通報されているなら、佑斗は必ず彼女を見つけ出すだろう。

彼女がしなければならないのは、晴子が無実であることを証明することだけだった。

あの写真については、彼女はバックアップを持っていた。

真雪は弁護士に連絡し、離婚協議書を作成し、誠智に送った。

そして自分で点滴の針を抜き、病院を後にした。

中野グループ。

真雪が乱入してきたとき、佑斗は苛立ち、机を叩いた。

「うちの警備員はただの飾りか?誰でも入れるのか!」

秘書はすぐに彼女を追い出そうとしたが、真雪は両手で机を掴み、「あなた、満足したでしょ。晴子は死んだのよ。知ってるの?」と言った。

その言葉を聞いて、私は呆然とした。

彼女は私の死を知っているのだ。

「真雪、私の遺体を見つけたの?怖くなかった?」

「私、ひどい姿になってない?」

真雪の目は充血して、赤く染まっていた。

「彼女がどれほどの拷問を受けたか、あなたは分かっているの?」

佑斗は険しい顔で、「お前は一体何がしたいんだ?さっき誠智から聞いたが、お前、柚月を陥れるために写真を捏造したらしいな!」と反論した。

「晴子のためなら、お前はなんでもするんだな。写真加工でみんなの注意をそらそうとするなんて。真雪、お前は記者より小説家になったほうがいいんじゃないか?」

佑斗の冷たい態度を見て、真雪は涙を浮かべながらも笑い出した。

私は胸が痛んだ。

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