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第5話

真雪が意識を取り戻した時、病院のベッドの上にいた。

そばには誠智が座っていた。

彼女が目を覚ましたのを確認すると、誠智は眉をひそめた。

「だから言っただろう、こんなことに首を突っ込むなって。ほら、今となっては、もうすぐニュースのトップになるぞ!」

「やることがないなら、もっと自分の体を大事にしろよ!柚月が言ってた通り、真雪、お前は自分からトラブルに突っ込んでいくタイプだな!」

真雪は失望感で胸がいっぱいだった。

「私が問題を起こしているって?本気で言ってるの?」

「誠智、私が柚月に勝てないとでも思ってるの?」

誠智は黙り込んだ。

それを見て、真雪の心はさらに沈んだ。

ふと彼の指を見て何もついていないことに気づき、怒りがこみ上げてきた。

「こんなことなら、なぜ私と結婚したの?」

誠智は冷たい声で答えた。

「真雪、お前が俺のベッドに飛び込んできたからだ。そうでなければ、俺が結婚するわけないだろう?」

真雪の体が震え出した。

5年前、彼女は社会に出たばかりの新人記者だった。

ある日、追跡取材の最中に無理やり酒を飲まされ、誤って誠智の部屋に入ってしまった。

その夜をきっかけに、誠智は彼女と結婚したのだった。

真雪は自分が柚月に似ていることを知っていたが、5年も共に過ごせば、存在を認めてくれるだろうと思っていた。

しかし、誠智の言葉は彼女の心をえぐるものであり、涙がこみ上げてきた。

「誠智、離婚しましょう」

「何だって?!」

「離婚よ」

真雪の失望は最高潮に達していた。

そのとき、彼女のスマホが鳴り、メッセージが届いた。

彼女はそれを見て驚愕した。

点滴の針を抜き、立ち上がって出口へ向かう途中で振り返り、誠智を見つめた。

彼は彼女が思い直したのだろうと思い、少しだけためらいの表情を見せたが、すぐに冷たい声で言った。

「後悔したか?今さら何を言っても遅いぞ」

「誠智、後悔してるわよ。あなたと出会ったこと、あなたと結婚したこと」

「あなたの心の中には、きっと別の目的があるのね!」

彼女が病室の扉を開けると、誠智が立ちはだかった。

「誠智、何をするつもり?」

彼女はじりじりと後退しながらスマホを取り出した。

しかし次の瞬間、彼女のスマホは奪われた。

「真雪、これは君の手には負えないことだ」

「怖いの?自分の初恋
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