第187話

彼は微かに瞳を輝かせ、前方を見上げて言った。「うん」

「なぜ警察に通報しないの？」

「ばか」

山田時雄は微笑んで言った。「今日、80歳の誕生日を迎える方が私が警察に通報することに同意すると思うか？実は、時には異なる方法でも同じ効果を得ることができるよ」

この言葉は少し深遠だった。

私は彼を意外に見つめて笑った。「先輩、あなたと以前に知り合った人とは少し違うと思うよ」

「どういう意味？」

彼は一瞬驚いた表情を浮かべ、私を見つめながら言った。「あるいは……俺のこういうところが好きではないのか」

「そんなことはない！」

私はすぐに否定し、称賛した。「私は、あなたが私が以前知っていた山田時雄よりも優れていて賢いと思う。あなたの思慮深さにはとても感心している」

私と彼のような人には、何の頼みもなかった。

頼れるのは自分だけだった。

ましてや、彼は山田家のような狼の巣にいるので、十分に考えないなら、ただ一つの死路しかなかった。

彼は一瞬驚き、瞳が微かに輝いた。「本当か？」

「もちろん本当だよ」

私は真剣に頷いた。

私の錯覚かもしれないが、彼は静かに息を吐き出し、かなり緩んだように見えた。

まるで私が尋ねた質問が彼を緊張させたかのようだった。

山田家の宴会場に入ると、私は今日来たのは鹿児島の上流サークルだけでなく、いくつかの新顔もいることに気づいた。

山田時雄は私のためにビュッフェから食べ物を取ってきた。「私はちょっと外に出るけど、ここで休んでて、何かあったらいつでも電話してね」

「わかった」

微笑しながら、私は西洋料理の皿を受け取った。

宴会場では杯が交わされ、私のような存在感の低い人間は、ちょうど忙しさから逃れることができた。

私は何かを食べた後、トイレに行って生理的なニーズを解消し、戻ってくると、江川アナがお金持ちのお嬢様に止められているのを見た。

あざとい女もきつい女に出くわすことがあったね。

私は角に立って、行かなかった。不必要な騒ぎに巻き込まれることはなかった。

お金持ちのお嬢様は、千万円を下回らない服を着ており、おそらく23、24歳の年齢で、洗練された顔に自信があった。「姉さん、あなたは江川宏のあの人に見せることができない妻だよね？」

……

私はただショーを見たかっただけだが、心を突かれた。

予想外に、江川ア