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第20話

賢也が結婚した時、四人の中に唯一その場にいたのは明良だった。彼の話では、賢也の奥さんは美人な上に性格も良く、特に賢也に対しては従順で、言われたことを何でも聞くタイプらしい。

そんな話を聞いた明良は、茶化さずにはいられなかった。「ちょうど数日前、その奥さんが彼を見かけるや否や道を避けて通り、二度と会いたくないってさ」

「黙れ!」賢也は冷笑を漏らした。

明良は大げさに目をひんむいた。海外にいる限り、賢也には何もされないと思っているのだ。「自分をやけに高く見積もってる奴が、振られても現実を認めたくないってわけか」

「だからこのビデオ通話なんてかけるんじゃなかったんだ」

悠真は明良の背中を軽く叩き、明良は機転を利かせて言った。「そういえば、世貿商業ビルは彼のものなんだ。あの子を探してもらえばいいだろ?」

「どの子だ?」賢也は煙草に火をつけた。

明良は、聞いた話を面白おかしく語り始め、賢也も少し意外そうな顔を見せたが、協力的だった。「どんな特徴があるんだ?」

明良が補足した。「すごい美人だよ」

悠真も微笑みながら言った。「普通の美しさじゃない、個性的で勇敢な子だった」

「......」賢也は煙を二口ほど吸い込みながら問いかけた。「具体的には?身長、服装、髪の長さ......俺が誰かに探させるから」

「それはいいよ」悠真は首を振った。「彼女、正義感が強いみたいだから、もし僕が彼女を調べたって知ったら、友達にさえなれないかもしれない。ここは、運を天に任せよう」

「数分話しただけで、正義感が強いと分かるのか?」明良は鼻で笑った。

「普通の女の子なら、強盗を目の前にして警察に通報するのが精一杯だろう。でも、彼女は自分で捕まえようとしたんだ。君はどう思う?」と悠真は反論した。

賢也も頷いた。「あまりに積極的すぎると、強盗を捕まえるのが罠だったかのように見えるな」

「お前がそういうのをしないならいいけど、兄弟まで巻き込むなよ!」明良は不満を露わにした。「結婚すらうまくいかない奴のアドバイスなんて聞くな。もし正しいなら、奥さんだって離婚を言い出さないだろ?」

ピッ、ピッ、ピッ。賢也は無言で電話を切った。

悠真は電話を明良に返しながら、「五十歩百歩ってところだな」と笑った。

......

友代はユリカに、千代が入院したことを伝えた。ユリカは「笑顔には逆ら
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