第5話

斎藤さんは私を見ると、驚きの表情を浮かべた。

その驚きは、私の体重と傷だらけの体に対してだった。

しばらくして、彼女は言った。「今のスタイルじゃ話にならない。減量しなさしなければならないよ。半年だけ時間をあげるけど、それで痩せなかったら、他を当たるしかないわね」

夜、家に帰ると、私を待っていたのは慰めや労いではなく、娘からの非難だった。

「花子さんを叩くなんて！自分で自分の恥をさらしているんだよ！比べてみると、まるで豚みたいじゃない！もう、どうしてあんたが私の母親なのよ！」

彼女は携帯を投げつけてきて、そこに書かれていた記事を見た。

――【川上雪、体型激変、化け物現れ】

――【青雲遥人根強く愛を追及し、嫉妬に狂う川上雪が無実の人を攻撃】

――【川上雪栄光幻滅、新たな女神は青柳花子】

インターネット上は、私に対する中傷記事で溢れていた。

しかし、こんな記事は青雲遥人が指を一本動かせばすぐに抑えられる。

なぜ抑えないのか？おそらく、青柳花子のために腹いせをしているのだろう。

私は携帯を彼女に投げ返し、冷たい声で言った。「泥棒猫の娘になりたければ勝手にすればいい。ドアは開いてる、誰も止めやしないよ」

それを聞いたら、雪子は驚いたようで何も言わなかった。

私はそのまま部屋のドアを閉めて中に入った。

スーツケースを取り出し、青雲遥人が私に買ってくれたものを捨て置いて、自分の服を詰め込んだ。それで、全ての準備が整えた。私は最後に、この12年も住んできた、私の全ての思い出が詰まった家を見つめた。

12年。私の人生の3分の1の時間をここで過ごした。

隣の部屋から突然、娘の泣き声が聞こえてきた。

私は静かに立ち尽くして、微動だにしなかった。

しばらく泣いた後、彼女は私の部屋の前まで来てドアを叩き始めた。「胃が痛い、薬を持ってきて、すごく痛いよ！」

私は無関心のまま立っていた。

彼女はますます激しく泣き続け、その泣き声から、青柳花子が教えたレシピで食事をした結果だということが分かった。

また青柳花子か。

私は冷たく笑った。「青柳花子が神様なんだろう？彼女に助けてもらいなさい」

雪子は怯えて、死ぬんじゃないかと思ったらしくて、青雲遥人に電話をかけたが、切られた。

彼女は天真爛漫すぎるわ。青柳花子が辛い思いをしている時、青雲遥人が彼女の側に