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弟の彼女一家に不倫相手だと思われ殴られた後、私はやり返した
弟の彼女一家に不倫相手だと思われ殴られた後、私はやり返した
著者: 海老名とま

第1話

帰国前日、私はオンラインで一つの配信チャンネルを見かけた。

二人の中年男女が横断幕を掲げていた。その横断幕に大きなフォントで「助けてください!!!泥棒猫が自慢しに家に来たらどうしますか?」と書かれてあった。

女の配信主がメイクを崩れるほど泣き喚く。「あの泥棒猫は毎日私の彼氏とラインしていて、明日は家に来るつもりというのよ……」

コメント欄を見たら、みんなは応援コメントと浮気相手へお罵倒コメントを送っている。

「図々しい、不倫したやつを殺そうぜ」

「主さん、心配することはない。住所教えてくれば、明日俺が代わりに叩きにいくぞ」

普段なら、私はこのようなライブ配信が一番嫌いだった。こういう配信は全て脚本された作り物だ。コメントを送る者たちも流行に乗っかるだけの無脳傍聴者。

しかし今回、私は無視できなかった。メイクがひどく崩れている配信者を見極めると、どこかで見たことがある感じがした。

その配信者は、とても弟の彼女の文美と似ていたからだ。

弟と文美が付き合い始めた時は、私は留学して2年目になる。両親は早く亡くなり、私と弟をおじさんに預けられたから、幼い頃から特に仲が良かった。

文美と会ったことはないが、弟から送られてきた彼女の写真をたくさん目にした。とても優しい人だと何度も私の前で弟が褒めていた。

写真しか見てなかったが、雰囲気からしてとても大人しそうな子だったから、今回は彼たちの婚約式に参加するために帰国したものだ。

私は文美の写真を出し、配信者の顔と見比べて、やはり文美であることを確信した。

急いで弟に電話をかけた。「君が浮気したってどういうこと?文美は可哀想じゃないか?」

弟が戸惑った声で返事した「姉さん、今何の話してる?僕には文美しかいないよ」

私は弟を信じている。彼は純粋な心を持っている人だから、文美に5年間も密かに思い続けてやっと告白できた男だった。彼が浮気するなんどうしても信じられなかった。

もし本当だとしても、きっとその浮気相手が厚かましく一方的に弟を付き纏っているに違いない。しかも最近家族企業を引き継ぐために忙しくなったから、前より文美をかまってやれなかった。

私は色々と考えた。この状況において解決策は一つしか思いつけなかった。それはお金を出すことだ。

「君は今から文美の欲しいものでも何でもいいからプレゼントしてあげて、100万でも直接送金してもいいから、機嫌を取ってきて」

私は何度も弟に言い聞かせた、彼女のことをもっと大事にしないと、と。

その日の夜になって、また文美の配信通知がきた。彼女は高級住宅のドア前に立って、大きなメガホンを持って「明日の夜、私のライブ配信を予約して、みんなで私がその浮気相手を制裁するのを見守ってください」

私は目を凝らして見ると、彼女の後ろにある豪邸は、私の両親が残してくれたものではないか?

明日の夜になればその現場にいられると思って、ワクワクして眠れなくて、飛行機に乗り遅れそうなところだった。

私未来の義理の妹を助けに戻りたくてたまらなかった。そしてどこのどいつが弟の恋人関係を壊そうとしているのか見てみたかった。

到着地に着いたのは、外はすっかり暗くなっていた。

弟がちょうど出張に出たから、私は一人でタクシーを捕まえた。浮気相手の正体を見逃すのが嫌で、夕食も食べずに家に向かった。

自邸の周辺は、私が住んでいた時と変わらなかった。私は興奮を抑えきれずにドアベルを鳴らした。

長い時間ずっと待たされた後に、ドアが勢いよく開かれ、2人の男性と2人の女性が私の前に現れ、悪意に満ちた目で私を睨んでいた。

「みんな見てください。こいつが泥棒猫よ!」

反応する前に、スマホのカメラが私の顔に向けてきた。一人の中年女性が目の前に走りかかってきて、パンといきなりピンタを食らわせてから、私の髪の毛を鷲掴みにした。

頭皮まで引っ張られたような力で、頭が痛くて眩暈が回った。

「見てごらん、これが泥棒猫の顔だ」「私の娘をいじめるなんて、殺してやる」

私は混乱した。

私はただ家に帰って騒ぎを見たかっただけなのに、どうして私の方がその浮気相手になってしまったんだろう?

「待って、人間違いじゃないか。私は……」

話は途中までしかできなく,文美が私の顔に唾を吐いて暴言を浴びせた「あんた親いないから教育になってないのか?今日は私の両親、兄と視聴者全員があんたを教育してやるよ」

文美の兄と父が駆け寄って私を家の中に引っ張った。家の内装は3年前と同じで、何も変化がなかった。家主の私だけなぜか叩かれ罵られていた。

「視聴者の皆さん、いいねとチャンネル登録をお願いします。今からすぐにこの泥棒猫を制裁します」

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