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第54話  

 山口清次の表情が固まり、唇をきつく結び、心の底では不快感が漂っていた。

彼女が吉村总峰を本気で好きなんだな、自分のルールさえも破れるくらいに。

「他に用事は?」由佳が尋ねた。

「昨晩、お前たちは何をした?」

「説明する必要はない」

これは山口清次が以前彼女に言った言葉だった。

山口清次は眉にシワを寄せながら言った。「由佳、意地ずかないで!」

明らかに、由佳は彼の言葉を全く聞き入れなかった。

彼は由佳が幸せであってほしいと願っているが、吉村总峰はまったく彼女には合わない。

「意地ずいてない」

「あなたを心配しているの、吉村总峰が君には合わないかもしれない、真剣に考えて、耳に流さないで、取り返しのつかないことをするな!」

「取り返しのつかないことをする?それって何?浮気?」由佳は眉を上げて言った。

山口清次は黙っていた。

「正式に離婚するまでは、浮気するつもりはない、安心していい。でもあなたは…今浮気してるじゃないか?」由佳は嘲笑いながら振り返り、去っていった。

由佳の祖父母は農民であり、父は正義感のあるジャーナリストだった。彼女が山口家に来た時、16歳で基本的な価値観は既に形成されていた。

由佳の価値観から、浮気ということをすることはあり得ない。

道徳は一般人を規制するためのものであり、金持ちを規制するためのものではない。

浮気など、お金持ちの世界では珍しいことではない。

山口清次も非嫡出子だ。

ガラスのドアを閉めるのを見て、山口清次は怒りすぎて笑った。

由佳は今、話す度に人に傷つけて、彼のことを嘲笑している。

彼女は知っているのに、彼も彼女と同じ人間だ。

彼は両親の過ちを繰り返すことはないだろう。

内線の電話が鳴った。

山口清次が気を取り直し、身を引き締めて、受話器を取り、耳に当てた。「何だ?」

電話の向こうの林特別補佐員が言った。「山口社長、今お時間ありますか?源華会社との契約に関して、弁護士が確認したいことがあると言っています」

山口清次は腕時計を見て、「彼を呼んで」

「はい」

ドアの外でノックする音がした。弁護士がフォルダを持って入ってきた。「山口社長」

「座って」山口清次は椅子にもたれかかり、向かいの回転椅子を指差した。

「はい、山口社長
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