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第6話

「私はただ......あなたを失うのが怖かっただけ......」明日香は涙を浮かべて健を見つめた。

「小太郎を妊娠した時、俺は責任を取るためにあなたと結婚した。それ以来、一度もあなたを裏切るようなことはしていない。でもあなたはいつも疑り深く、俺を信用しようとしなかった。あなたの普段の小細工には目をつぶってきたが、今回ばかりは許せない。あなたは俺にとって一番大切な人を傷つけたんだ」

明日香は泣きながら首を振り、「あなた......私はあなたを失いたくないの。私の弟もまだ刑務所にいるし、あなたがいないと彼は生きていけない。もう分かったの、私は本当に反省してるの。愛してるの、あなた......」

「俺はあなたを処罰しないよ」

「本当に?やっぱりあなたはまだ私を愛してるのね!」明日香が健に抱きつこうとすると、彼はその手を強く振り払った。

「違う。千惠の前では、あなたなんてゴミ同然だ。あなたが傷つけた彼女の目が覚めたら、彼女自身にあなたの処遇を決めさせるつもりだ」健はそう言い残し、明日香に一瞥もくれなかった。

私は病床で一週間も横たわり、ようやく意識が戻った時、目を開けると、疲れ切った兄がそばで看病しているのが見えた。

「兄さん......」

私が目を覚たのを見て、彼の無表情だった目にようやく生気が戻った。「ゆっくり休め。兄さんがここにいるから」

「小太郎は......?」

兄の表情が凍りつき、「小太郎は......」

「小太郎はもう......」しばらくして、兄は震える声で言った「あの狂った女が俺を取り戻すために小太郎を病院から連れ出して......小太郎は......」彼の声は嗚咽にかすれていった。

私の胸が痛みで締め付けられた。明日香は悪魔だ。兄と一緒にいるために、実の息子の命すら顧みなかったなんて!

「すべて私の責任だ。お前を帰国させなければ、子どもを失うこともなかったし、こんな目にも遭わなかった。お前はもともと助けに来てくれたのに......」兄は私の病床にうなだれて泣き崩れた。

その時、見慣れた姿がドアの外から入ってきた。私の夫だった。

彼を見た瞬間、私は我慢できなくなり、泣き出した。彼は私を抱きしめ、額にキスして「もう泣かないで、愛しい人。俺が来たからには、二度とお前に傷をつけさせない」と優しく囁いた。

やっと私は気持ちを落ち着か
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