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第 0772 話

作者: 水原信
紅はその黒い薬水を受け取ると、海咲の両頬を軽く押さえ、薬水を無理やり飲ませた。

「ゴホッ、ゴホッ!」

海咲は激しく咳き込んだ。その味は刺すような苦味と鼻をつく匂いで、飲んだ瞬間に全身が一気に覚醒したようだった。しかし、力が入らず、ラクダのこぶの上にぐったりと伏せるしかなかった。

紅は意識が遠のいていくように見える海咲に声をかけた。「海咲、どう?私の声が聞こえる?」

「うん」

海咲は小さく返事をしたが、声には力がなく、まるで瀕死の魚のようだった。

紅は海咲が落ちないように、彼女の腰をしっかりと抱きかかえて支えていた。

しかし、自身も体力の限界に近づいていた。

紅もその黒い樹液を飲んだが、独特の風
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